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イベント概要
・開催概要
黒潮と親潮が交わる「潮目の海」として、恵まれた漁場から獲られる魚が「常磐もの」です。近年では、地球温暖化の影響もあり、特にイセエビやタチウオ(「シン・常磐もの」)の漁獲量が増えています。特にいわき市では、「磐城(いわき)イセエビ」という地元の名前を加えた形でのPRを行うなど、イセエビへの活気があふれています。これまでは「サンマ・コウナゴ」が中心だったいわき市の代表的な魚が変化しています。特に、コウナゴは福島県周辺からいなくなってしまいました。現在、いなくなった原因を究明中ですが、地球温暖化の影響が大きいと考えられています。そんなコウナゴのような例もあり、「シン・常磐もの」も、資源管理をしっかりと行わないと、獲れなくなってしまう可能性があります。子供達には、「シン・常磐もの」の魅力を理解してもらいながら、コウナゴの教訓を活かし、ミライへと守っていく方法を、実際に行われている現在の資源管理施策を学習しながら、考えてもらいました。その上で、イベントを通して考えた、ミライへ繋げていく為に出来ることを(自分が発信したいことを)コラージュにしました。
・日程:2024年7月31日(水)~8月1日(木)
・開催場所:小名浜港、「環境水族館」アクアマリンふくしま、水産海洋研究センター、いわき新舞子ハイツ、いわき・ら・ら・ミュウ、いわき市中央卸売市場
・参加人数:20名(福島県内の小学5~6年生)
・協力団体:福島県教育委員会、福島県水産海洋研究センター、 いわき・ら・ら・ミュウ、いわき市漁業協同組合、アクアマリンふくしま、いわき市中央卸売市場
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イセエビ漁船に乗船!イセエビの漁法を教わる!
「シン・常磐もの調査隊」は、小雨が止んだ小名浜港に集合し、漁船の乗船体験を行いました。ライフジャケットを着用した上で、小型漁船に乗船し、「イセエビ」や「ヒラメ」を獲るポイントまで案内してもらいました。漁師の方から、イセエビが増えている海の状況の説明や、実際に船の上ではどんな作業を行っているのかを、船の上で説明していただきました。約半数の参加者が、漁船に乗るのが初めて、「海の涼しい風が心地良かった」や、「沖に行くほど揺れが大きくなり、想像していた以上の揺れだった」などの感想がありました。この日は暑さの関係から、網引きを実施することは出来なかったので、場所をアクアマリンふくしまに移して、早朝に行われた漁の映像を通して、イセエビを獲る「刺し網漁」に関してより詳しく学びました。また、いわき市漁業協同組合の長谷川さんから漁師の働き方や、いわき市漁業協同組合が実施している取組内容を教わり、漁師に関する知識を深めました。
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「潮目の海」の生物、「シン・常磐もの」の生態を教わる!
いわき市を拠点に展開しているスーパーマルトの「常磐もの」を使用したお弁当を食べた後は、アクアマリンふくしまで展示されている魚を通して、福島県沖に生息している魚の生態について学習しました。こちらは潮目の大水槽を担当されている、アクアマリンふくしまの松崎さんに講演していただきます。まずは、福島県の特徴である黒潮と親潮が交わる「潮目の海」について、アクアマリンふくしまの「潮目の大水槽」を用いて、「親潮」「黒潮」の特徴、そしてそこに住む魚の生態を学びました。その後は、今回のテーマである「常磐もの」の企画展で展示されている「イセエビ」「トラフグ」を見学し、マリンシアターでは、イセエビとタチウオの生態をクイズを交えて学習しました。イセエビの甲羅やタチウオの歯の鋭さなどの生態特徴は、実物を用いながら教えてもらいます。子供達はイセエビの甲羅に興味津々で、形状や甲羅の硬さを念入りに確かめていました。また、タチウオの「刀の様な輝き、大きさ、歯の鋭さ」を目の当たりにし、一同、驚きの声があがっていました。実際に目で見て、クイズを交えて楽しく学ぶことで、生態と環境変化の影響による生息域の変化をより深く理解しました。
その後は、「潮目の大水槽」の魚たちへのエサやりや、実際のタチウオを用いての魚の計測を体験しました。シン・常磐もの調査隊のメンバーのために、普段は経験できないプログラムを松崎さんが特別に用意してくださり、調査隊のメンバーにとって貴重な体験となりました。
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コウナゴの減少と魚種の変化に伴う、漁業の変化について
場所を水産海洋研究センターに移し、福島県の漁業の特徴から「コウナゴ」についてを、副所長兼海洋漁業部長の根本さんから教わりました。まずは水産資源の調査研究を行っている、水産海洋研究センターの仕事内容についてを、紹介VTRを交えて詳しく教わりました。その後に、「福島県で一番水揚げ量が多い漁法とは」などのクイズを出題しながら、福島県の漁業の特徴や漁港について解説していただきました。その上で、「常磐もの」を代表する魚種であったコウナゴ(イカナゴ)に関して、水産海洋研究センターでは、毎年1~3月にコウナゴの資源状況を把握する為、特殊な細かい網目になっている「稚魚ネット」を用いて調査をしており、実物の「稚魚ネット」に触れながら、その調査方法を学びました。ですが、最近はほとんど獲れない状況が続いており、コウナゴが激減している状況が続いていること、そして減った要因が特定できていなく調査中であることを教わりました。また、コウナゴ以外にも漁獲量が変動しており、代表的な魚種をいくつか教わりました。魚種が変化している為、漁師は似ている漁法などをうまく活用し、獲る魚種を変更しながら対応しています。その「漁業者の対応力」が福島県の特徴の一つである事を教わりました。魚種の変化は、海水温の上昇や黒潮続流の三陸沖への北上が影響していると考えられており、特に水温の変化は、魚にどれ程に影響を与えるのかを、ヒラメの敵水温「12℃」「13℃」、ヒラメが生活できない「25℃」の水槽を実際に手で触れて、体験することで学びました。子供達は、魚にとって1℃の変化は、人間にとって10℃の変化に相当する事を身をもって学びました。そんな繊細な魚たちを守るために、漁業関係者による多くの取り組みと工夫が行われていることを学び、地元の資源管理の大切さを実感しました。
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1日目のまとめ、メッセージを考えよう
いわき新舞子ハイツへ移動し、夕食とお風呂の後には、1日目のまとめです。全体監修の小松さんと一緒に、本日行った内容を振り返りました。その上で、自分が伝えたいメッセージは何かを考えていきます。まずは自分の学習ノートに伝えたいことを記していきます。その次に、伝えたい内容から言葉を選定し、ポストイットに記していきます。イセエビ班とタチウオ班の各班で、みんなが考えた言葉から、同じ要素の伝えたいメッセージを集めながら、班のメッセージを決めてもらいます。子どもたちは色んな議論を交わして、イセエビ班は「人や魚、地球のためにゴミを捨てないようにしよう 栄養満点、新鮮、おいしい、常磐もの」、タチウオ班は「温暖化を防いで常磐ものを守ろう!! 魚と人は、助け合い!」に決定しました。
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「常磐もの」の加工品を教わり、そして味わう!
調査隊の2日目は、いわき・ら・ら・ミュウの「小名浜あおいち」を訪れました。こちらで「常磐もの」の加工品に関して、上野台豊商店の上野臺さんに説明していただきました。小名浜あおいちで実際に販売されている「メヒカリ開き干し」は、手作業で作業が行われており、手間を掛けて加工品が作られています。そして、いわき市出身の相撲芸人「あかつ」が登場。あかつ氏の「すもササイズ」をみんなで踊り、会場は大盛り上がりとなりました。あかつ氏は、「常磐もの」の未利用魚である「カナガシラ」を使用した加工品「あかつの金星ちゃんこ鍋スープ」をプロデュースしています。地元食材の良さをより多く知ってもらいたいという、あかつ氏の想いから商品をプロデュースしたことを教わりました。また、上野臺さんからはこれまで上野台豊商店が手掛けてきた加工品とその変化をお伺いしました。以前は、イワシ丸干しを販売されていましたが、魚種が変化したことで「さんまポーポー焼き」を生産するようになり、現在は「イセエビ」や「カナガシラ」などの新しい「常磐もの」の加工品も手掛けられています。その背景には、環境の変化により魚種が変化したことで、取り扱える魚までもが変化し、その都度加工会社として対応してきた歴史があることを教えていただきました。調査隊は、そんな加工会社の歴史を聞いた上で、さんまポーポー焼きが入ったシーフードカレーとイセエビの加工品(グリル・ピッツァ)を実際に食べて味わいました。初めてさんまポーポー焼きやイセエビを味わう調査隊もおり、いろんな「常磐もの」加工品の魅力を上野台商店の歴史と共に噛みしめました。
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「常磐もの」の調理体験「タチウオチップス」を作ろう!
午後は、場所をいわき市中央卸売市場に移して、「常磐もの」の調理体験です。調理は、齋藤先生にさばき方や料理の手順を教わった上で、福島県立小名浜海星高校水産クラブ調理チームの高校生に手伝ってもらいながら挑戦します。今回調理する「タチウオチップス」は小名浜海星高校の学生が考案した料理です。タチウオを3~5センチ位に切り落としたり、漬けダレに漬け込む作業を行った上で、フライパンで揚げます。これまで調理経験がない子もいましたが、調査隊全員が「タチウオチップス」を作ることが出来ました。味はのし塩味です。実際に食べてみると、ホクホクな食感が癖になる「常磐もの」料理です。子どもたちは、自分たちが作った「常磐もの」料理を、誇らしげに食べていました。親御さんのお土産用に作ったチップスですが、ほとんど自分で食べてしまった調査隊もいるほどです。
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持続可能な資源にする為、「資源管理」の大切さを教わる。
昨日に続いて、水産海洋研究センターの根本さんから、「シン・常磐もの」を持続可能な資源にするために、「資源管理」の大切さを教わりました。震災の影響により、福島県は休漁期間が設けられました。休漁期間の影響もあり、ヒラメは7倍まで資源量が増加するなど、福島県の水産資源が増えたという結果が出ています。増えた資源状態を維持していくために、県が漁業関係者と取り組んでいる内容を教わりました。稚魚の放流から、漁業者と一緒に資源管理を行っていた経緯もあり、他県以上のサイズ規制を設けているとのこと。そのお陰もあって、特にヒラメは漁業者と資源管理を行えている成功事例となっています。「シン・常磐もの」も第2のヒラメを目指し、資源管理先進県への視察などを行っています。調査隊は学習ノートに学んだ内容を、たくさんメモを取りながら、資源管理の大切さを学習しました。
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イベントで学んだこと、考えたメッセージを元に、コラージュを作成
ついにイベントの最終プログラムです。2日間で学んだ内容と、班ごとに考えたメッセージを元に、コラージュを作成します。コラージュの作成は、地元いわき市で活躍するアーティスト金澤さんから作り方を教わりました。「美味しい」といって思い浮かべる色見は何かなど、色や形にこだわってコラージュを作成することのポイントを教えてくれました。「シン・常磐もの」のイセエビとタチウオを、それぞれの想いを込めて作成します。綺麗な折り紙をちりばめて作ったり、足をカラーモールで作ったり、十人十色のイセエビが完成しました。完成したコラージュは、常磐線の中吊り広告で10月に掲示予定です。「シン・常磐もの調査隊」の想いが詰まったコラージュを通して、「常磐もの」の魅力を多くの方に発信します。
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参加した子ども・保護者からの声
<参加した子どもの声>
・漁船に乗ったり、普段入ることができないアクアマリンのバックヤードや福島県水産海洋研究センターに行ったり、高校生の皆さんに調理を教えてもらったり貴重な体験ができました。「常磐もの」の新鮮さや美味しさも知りました。コラージュ作成では2日間学んだことを生かして良い作品が作れてうれしかったです。
・家から近い場所で見慣れた所だったけれど、こんなに知らなかったことばかりあったんだと分かった。全て楽しかった。美味しかった。
<保護者からの声>
・「シン・常磐もの」という新しい「常磐もの」についてのことや今までの生き物からの移り変わり、海の環境の変化や海洋問題、漁の仕方、調理法など学んできたことをたくさん話してくれました。また、先生方や初めて会ったお友達と過ごした楽しかった思い出も話してくれました。
・普段すぐ近くにある海について子供から学んできたことを教えてもらい、こんなに魅力的な海なんだと再発見しました。今回学ばせていただいた地元の海やそこに住む生き物のことをキラキラと話す息子を見れて嬉しかったです。
<団体概要>
団体名称:一般社団法人 ふくしま海と緑のプロジェクト
URL:
https://fukushima.uminohi.jp/
活動内容:福島県の海への理解を促進し、魅力ある福島の海を未来に残すため、イベントや情報発信を推進し、また、海洋ごみ削減のために多くの県民参加型の全県一斉ごみ拾い活動等、県民の意識や行動を変え、次世代を担う子どもたちに海を中心に福島の美しい自然を守り、大切にする心を育てる活動を行っています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。