青森5館を巡回展示 栗林隆《元気炉》が青森県立美術館からスタート
現代美術を楽しめる青森県内5つの美術館・アートセンター(青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)で9月1日(日)まで開催中、AOMORI GOKAN アートフェス 2024「つらなりのはらっぱ」では、各館を巡回する5館の共通企画栗林隆《元気炉》が8月9日(金)より青森県立美術館をスタートしました。
栗林は空間の内と外、自然と人間、人間同士の間にある境界など、あらゆる時代や場所に存在する「境界」に目を向け、その意味を問い直すような作品を制作してきました。《元気炉》は原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させ、観客が中に入る体験型の作品です。
初日を迎えた栗林隆は作品の前で「2020年から取り組むこの作品。東日本大震災の発生後、アーティストとしてできることを模索しながら福島に通うなかで、地元の人たちから元気をもらっていることに気づき、タイでの経験から着想を得て、みんなが元気になる原子炉型の作品、薬草スチームサウナを震災から10年目に発表しました。当初は作品の名前はなく、作品を体験した参加者の様子をみて、みんなの元気でエネルギーを生み出す《元気炉》ということで名前がつきました。青森は十和田市現代美術館に作品が展示され、縁が深いところ。青森を代表する5つの美術館で作品をお見せできることを楽しみにしています。また日頃から共にキャラバンをしている音楽家の辰田翔さん、写真家で映像作家の志津野雷さんも加わり、五感を超えた六感で空間全体を楽しんでいただけるような作品を作りあげます。是非実際に参加して作品を体験してほしい。」と語りました。
本アートフェスでも、作品を稼働する美術館では地域ごとに自生する薬草をブレンドして使用。レモングラスやくわの葉など、ハーブの香りが漂うミスト状のスチームを体験した人たちは皆一様に笑顔で、体験後のハーブティーも楽しんでいました。
また本アートフェスでは、「Aomori GENKI-RO Trip」と題して、青森の各地域に伝わる郷土音楽からジャズ、クラッシックなど、地元で活動する奏者たちと音楽家の辰田翔がライブ演奏を行います。青森県立美術館では、青森県庁ねぶた実行委員会囃子方が参加。さらに写真家で映像作家の志津野雷も同行しその様子を記録します。当日は各館ごとにドリンクやフードの出店もあり、アーティストと参加者が共に楽しめる企画です。
《元気炉》は2024年のテーマである「つらなりのはらっぱ」を体現するように、青森5館を旅し、各地域に継承される伝統文化や人々との交流をかさねながら、本アートフェスのフィナーレを飾ります。
▼栗林 隆《元気炉》「Aomori GENKI-RO Trip」巡回・イベント情報
参加無料・飲食費別
1)青森県立美術館 <終了しました!>
●展示日時 8月9日(金)-8月11日(日)*8/10はナイトミュージアム開催、夜間開館
●展示場所 創作ヤード(屋外トレンチ)
●作品稼働日 8/9(金)18時-21時8/10(土)18時-20時
●イベント
〇8/9(金)は青森県庁ねぶた実行委員会囃子方との音楽イベントを実施
〇8/9(金)、10(土)は「青い森珈琲焙煎所」が出店
●地元演奏者 青森県庁ねぶた実行委員会囃子方
2)青森公立大学 国際芸術センター青森
●展示日時
8月14日(水)-8月15日(木)10時-20時
●展示場所
展示棟 水のテラス付近
●作品稼働日
8/14(水)-8/15(木) 両日18時-20時
●イベント
〇8/14(水)18時-20時
サッコ食堂による焼鳥販売、飲み物(アルコール、ノンアル)の販売
〇8/15(木)19時頃-
民謡ユニット青森うぐいす姉妹と辰田翔との音楽ライブ
●地元演奏者青森うぐいす姉妹
西塚繭子と西塚淳子による民謡ユニット。史上初、姉妹で民謡王座に輝く。青森県南部町を拠点に、日本のみならず世界にも南部民謡と南部手踊りの素晴らしさを広める活動をしている
●参加店舗サッコ食堂
大谷翔平と大滝詠一の地元である岩手県・奥州市の自宅納屋を改装した会員制の音響空間にて厳選した純国産鶏種の絶品焼鳥と滋味深いミュージックが楽しめる店。現在は、流しの焼鳥師としても活動中
3)八戸市美術館
●展示日時
8月18日(月)・19(月)・21日(水) 10時-19時
●展示場所
美術館内「スタジオ」
●イベント
〇8/18(月)19時-21時
5館で唯一、本作を屋内で展示する八戸市美術館。音楽や、各館展示の様子をまとめた映像と共に作品を鑑賞いただけます。また8/18(日)のイベントでは、作品鑑賞に加えて、郷土芸能とのコラボによる生演奏をお楽しみいただけます。館内外で飲食店出店、マエニワでは映像上映もあり、美術館の内外が賑わう夜です
●地元演奏者
八戸郷土芸能の団体
●参加店舗
たなぶ酒販・カネイリミュージアムショップ・番彩珈琲みな実 Pizza217
4)十和田市現代美術館
●展示期間
8月24日(土)-8月25日(日)
●展示場所
美術館 前庭
●イベント
〇8/24(土) 17時-19時
17時からは、地元演奏者のea-Z’s《いー爺ーず》と音楽家の辰田翔・篠田ミルが出演する音楽イベントを行います。併せて美術館併設のカフェcubeでは営業時間を延長し、ソフトドリンクやアルコール、栗林氏の関連グッズを販売。《元気炉》周辺には、手押し車に木造の屋台テーブルを乗せた作品《YATAI》を展示し、《YATAI》を囲みながらドリンクを提供
●地元演奏者クラシックギターデュオea-Z’s《いー爺ーず》
2015年から活動スタート。市内を中心に癒される音楽を提供。映画音楽、クラシック、国内外ポップス、日本の歌など、参加者に合わせた選曲での演奏を行う。十和田市現代美術館で開催する地域のパフォーマーが美術館で演奏する「げんびオープンステージ」にも参加
5)弘前れんが倉庫美術館
●展示期間
8月28日(水)-9月1日(日)
●展示場所
土淵川吉野町緑地(弘前れんが倉庫美術館前)
●作品稼働日
8/30(金)-9/1(日) 全日17時-20時 *8/30、31は夜間開館
●イベント
〇8/30(金)・9/1(日)
弘前ゆかりの音楽家や、自ら制作した土器の太鼓「縄文太鼓」をジャポニズムとアフリカンを融合した独自の演奏スタイルで独奏する太鼓演奏家・茂呂剛伸(9/1のみ)が登場します。
〇8/30(金)-9/1(日)
L PACK.によるイベント《いっしょくたにへば たげめぐなるはんで》を開催。オリジナルの屋台でコーヒーやクラフトビールが楽しめます
▼プロフィール
栗林隆|Takashi Kuribayashi(現代美術家)
1968年、長崎県生まれ。東西統合から間もない1993年よりドイツに滞在、その頃より「境界」をテーマにドローイング、インスタレーション、映像など多様なメディアを使いながら作品を発表。現在は日本とインドネシアを往復しながら国際的に活動する。主な展覧会に、2022年、ドクメンタ15(Takashi Kuribayashi+Cinema Caravanとして)、カッセル、ドイツ。2019年、瀬戸内国際芸術祭2019「伊吹の樹」、伊吹島、香川。2018年「パレ・ド・トーキョー Enfance/こども時代」展、パレ・ド・トーキョー、フランス、パリ。2012年、個展「Water >I< Wasser」十和田市現代美術館、青森など。
「Aomori GENKI-RO Trip」参加アーティスト
<5つの美術館・アートセンター全てに参加>
●
辰田 翔|Sho Tatsuta(音楽家・作曲家)
東京出身。作曲とピアノを学ぶ。 自身のオーケストラ『 NMO / notremusica orchestra 』において作曲、指揮、ピアノを担当。 ファッション、映画、展示会、建築施設、美術館、写真展、広告、民藝、都や県への音楽・音響作品を提供する。美術作品の分野では、映像、空間、インスタレーション、立体造形、音響、建築の作品を制作。
●
志津野 雷|Rai Shizuno(CINEMA CARAVAN代表・逗子映画祭ディレクター・写真家)
写真家として世界中を撮影しつつ、ANA機内誌「翼の王国」等雑誌、Ron Herman等広告撮影の他、アーティストとのコラボレーション制作にも力を注ぐ。2016年に自身の写真集である『ON THE WATER』を発売。2018年 生演奏付き映像作品『PLAY WITH THE EARTH』を発表。逗子を拠点に世界中へと旅をし、その出会いや経験を様々なフィールドで表現している。2022年ドイツのカッセルで開催された「ドクメンタ15」2023年六本木アートナイト等に現代美術家 栗林隆とともに参加。
「Aomori GENKI-RO Trip」参加アーティスト
<各館で個別に参加>
十和田市現代美術館
8月24日(土) 参加
●
篠田ミル|Miru Shinoda(音楽家)
1992年大阪生まれ。 東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。 専門はメディア論、サウンド・スタディーズ。 シンセサイザーや録音メディアなどの音響技術に対する社会史的な関心のもと、電子音を軸にした音楽作品の制作を行う。 近年は松永拓馬やACE COOLをはじめとする多数の音楽家とのコラボレーションのほか、楽曲提供やプロデュース、ファッションブランドのルックムービーや映画音楽、舞台音楽の作曲まで幅広く手がける。 また東京を拠点に活動するバンドyahyelやプロテストレイヴやD2021など、表現活動を用いたアクティビズムの現場にも企画や運営を通じて積極的に参加している。
●
弘前れんが倉庫美術館
9月1日(日) 参加
●
茂呂 剛伸|Goshin Moro(ジャンベ太鼓・縄文演奏家)
自ら制作した土器の太鼓「縄文太鼓」を、ジャポニズムとアフリカンを融合した独自のスタイルで演奏する。
出雲大社「平成の大遷宮」での奉祝奉納演奏(2013年)や 、フランス・パリの日本文化会館「縄文展」での演奏(2018年)など、国内外で活躍中。縄文太鼓の作陶活動では2010 年に「北海道陶芸展」新人賞、2022年に札幌文化団体協議会札幌文化奨励賞、2023年には北海道文化奨励賞を受賞、銀座・galleryQ、上野・東京都美術館、パリ・日本文化会館などで個展を開催。