一般財団法人KIBOW(東京都千代田区、代表理事:堀義人、以下KIBOW)が運営する「KIBOW社会投資ファンド3号」は、飲食店やホテルなどの飲食提供事業者を中心に食物アレルギー対応ITサービスを提供する株式会社CAN EAT(東京都新宿区、代表取締役:田ケ原絵里氏、以下CAN EAT)に約5,000万円を出資しました。KIBOWとして27件目(22社目)の出資となります。
■CAN EATとは
CAN EATは、「すべての人の食をおいしく・楽しく・健康的にする」ことを目指し外食店舗やホテルなどの飲食提供事業者を対象に食物アレルギー対応ITサービスを提供しています。
日本では多くの人が食物アレルギーに悩んでいると言われています。一方、飲食提供事業者では、多岐にわたる食材・調味料に含有されるアレルゲンを確認して利用者へ情報提供したり、個別にアレルギー対応を行うことが難しい状態が続いていました。その結果、アレルギーの方がいる家庭では、外食が難しく、気軽に社会的活動を楽しめない状態が続くなどQOL(Quality of Life)が下がる傾向があります。
そのような状況においてCAN EATは、飲食提供事業者が、自社の提供する料理に含まれるアレルゲンの管理サービス「アレルギー管理サービス」や、会食などの機会において参加者のアレルギー情報を効率よく収集するウェブサービス「アレルギーヒアリングシステム」を提供。事業者のアレルギー対応にまつわるさまざまな作業の負担を軽減することにより、アレルギーに悩む人がストレスなく食事を楽しめる社会の実現を目指します。
■CAN EATの特徴
CAN EATの特徴は、高い専門性とAIを活用したサービスにあります。CAN EATのチームには、アレルギーの当事者団体の代表であり飲食店にコンサルティングを行っているメンバーや、長年食品表示に携わる食品表示のプロフェッショナルなどが在籍しており、外食事業者の課題を把握した上でサービスを提供しています。また、提供サービスにAIを実装することで、食品表示データの読み込みの完成度を上げつつ、過去に蓄積したデータとも照合し、より精度の高い判定を実現しています。
またCAN EATは、食物アレルギー患者とそのご家族のライフスタイルを改善するための調査・研究*1を行っています。今後も調査および情報発信を通じて、「食事制限のある人とない人とが共に気軽に食事を取る」ことが当たり前な社会の構築を推進します。
【食物アレルギーに関する外食実態調査】 外食時に発症経験があるアレルギー当事者は約7割。原材料とアレルギー表示の有無がお店選びのキーポイント
■KIBOWによる投資の背景
食物アレルギーがある方およびそのご家族は、外食に関して、アレルギー発症の不安、利用できる外食場所を探す不便さ、そして友人たちと共に食事を取れない孤立感など様々な苦痛を抱えています。一方、そういった苦痛を取り除くためのアレルギー対応はなかなか進まず、社会問題となっています。KIBOWは、CAN EATのサービスが普及することにより、飲食提供事業者が食物アレルギー対応を進めることが容易になり、その結果食物アレルギー対応の取り組みが広まると考え、投資を決定しました。
<CAN EATの目指すインパクトモデル>
今回の資金調達を通じてCAN EATは、導入企業向けの現行サービスの新機能追加や新サービス提供に向けたシステム開発、営業基盤の確立を目指します。また社外取締役には、株式会社グロービスにてディレクターを務める中村剛が経営に参画します。
KIBOWは、CAN EATが食物アレルギーに対応するサービスを社会に広く普及させることで、個人のQOLが向上し、誰もが気軽に自由に食事を楽しめる社会が実現することを期待しています。
◆株式会社CAN EATについて
設立: 2019年
事業内容: 「CAN EAT」の開発・運営
代表者: 代表取締役 田ケ原絵里
所在地: 東京都新宿区天神町7番地11 No.14
代表取締役 田ケ原絵里氏
大学卒業後、大日本印刷株式会社で7年間新規事業開発業務に携わり、0→1、1→10、10→100のフェーズを経験。ある日家族が米アレルギーに罹患して外食を楽しみにくくなったことから、「食べられないものがある世界31億人の外食を救うサービス」としてCAN EATを考案し、2019年4月に起業。企業に対する食のバリアフリーアドバイザーや飲食提供事業者でのアレルギー対応について研修を行う講師としても活動中。
社外取締役 中村剛
ITサービス企業でプロジェクトマネジメントやシステム設計・導入を通じ、クライアント企業の戦略支援に従事した後、グロービスへ。同社では人材・組織開発プロジェクトの営業・コンサルティング、事業企画、プロダクト開発に従事。現在は法人部門において、営業統括リーダーとアセスメント事業リーダーを務める。
グロービス経営大学院教員。グロービス経営大学院経営学修士課程修了。東京工業大学工学修士課程修了。
◆一般財団法人KIBOW インベストメント・プロフェッショナル 東樹敏明からのコメント
CAN EATは、日本の多くの方*2が悩まれている食物アレルギー問題に対して外食産業や観光業の事業者にアレルギーに関するサービスを提供するというユニークなビジネスモデルを構築しています。
今回の投資検討にあたり、CAN EATのサービスの利用者とも実際に面談しましたが、CAN EATのサービスを通じて安心して効率よく食事を提供できると、どの利用者も非常に喜んでいました。同社のビジネスが日本全体に広がり、アレルギーのある方が自由に食事を楽しめる社会が実現することを期待しています。
*2 『令和4年度 アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究』研究者代表 足立雄一氏(富山大学 学術研究部医学系小児科学)の調査資料より「(全年齢を合わせた既往を含む)有病率16.4%」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/163448
-
KIBOWについて (
http://kibowproject.jp
)
東日本大震災の3日後に始動した救援・復興支援プロジェクト「Project KIBOW」は、「希望」と「Rainbow」から命名しました。長期的に被災地を支援していきたいという思いから、2012年2月に一般財団法人化し、以下の3つを軸に活動を展開しています。
1)「場」の提供(イベント)
被災地各地で、地域の復興を願う人たちが集まる「場」を作っています。地域の内外のリーダーたちが集まり、交流を生むイベントを定期的に開催しています。
2)寄付
これまで、約1400名以上の方々にご協力いただき集めた資金、約1億円を、被災地で活動しているNPOや各地のリーダー達に提供しています。
3)社会的インパクト投資(KIBOW社会投資)
被災地に限定せず、「社会を変える」志を持った社会起業家たちに投資し、事業の規模化を支援します。
■本リリースに関するお問い合わせ先
グロービス 広報室 土橋 涼
E-mail: pr-info@globis.com