大建工業株式会社(大阪市北区、社長:億田正則)は、この度、1月30日に建設計画を発表した「新・音響実験棟(仮称)」の正式名称を
『音環境ラボラトリー』(愛称:『音ラボ』)
に決定し、8月20日に建設着工いたしましたのでお知らせします。また、同日には、当社および建設業者等の関係者が出席する起工式を実施いたしました。
なお、当初10億円程度を想定していた『音ラボ』の総投資額は、建屋工事や新規の実験設備等を含め約13億円となる見込みです。
(参考)
2024年1月30日発信リリース:新たな音の設計開発拠点「新・音響実験棟(仮称)」の建設決定
2025年10月に竣工・運用開始を予定している『音ラボ』では、測定・分析技術の向上に取り組むとともに、より高性能な建築音響製品や、音に関する新技術(音響メタマテリアル※)、および新素材の開発に向けた研究を進めます。
当社は来年度に創業80周年を迎えるにあたり、引き続きあらゆる空間における快適な音環境の提供を目指すとともに、この周年を機に、当社の強みである「音」の研究開発力をより一層強化してまいります。
※音響メタマテリアル:
「メタマテリアル」とは、自然界に存在する物質にはない特性を持つ人工物質の総称で、特に音波や超音波を制御することによって新しい音響特性を持たせる技術のことを「音響メタマテリアル」と呼びます。
日本国内でも研究や実用化が進んでおり、今後、自然界にはない音響特性を持った物質を生成する音響メタマテリアル技術の革新により、音響関連業界のさらなる市場拡大が期待されています。
【『音ラボ』施設概要】
当社岡山工場の敷地内に新設し、音響技術の開発設計拠点となる『音ラボ』には、建築材料や構造の基本的な音響性能を測定する「残響室」、「無響室」、「箱型実験室」に加え、構造躯体にCLTを用いた「木造実験室」を備えます。各実験室には最先端の実験・測定装置の設置を予定しており、音に関わる様々な機能や性能の実験・評価が可能となります。
来年10月の稼働後からは、施設内の設備をフル活用し、より高性能な「建築音響製品の開発」や「音環境の可視化」、あらゆる建築物に対応した音響設計を可能とする「シミュレーション技術の向上」など、さらなる音の技術開発を進め、住宅・非住宅問わず、顧客が求める幅広い要望にお応えします。
①
木造実験室(CLTパネル工法の実験室)
今後、木材活用の側面からCLT造の建築物の普及拡大が予測されることから、当社初となるCLTを構造躯体に用いた実験室を設置します。CLT造の公共・商業建築物や大規模木造住宅における遮音技術の開発など、木構造空間での音に関する様々な研究開発に活用します。
②
無響室(天井・壁・床の全面に特殊な吸音材を施工した、音が響かない空間)
音の反射がほとんど無いため、騒音源の特定分析や音の拡散の測定などが可能です。これにより、新たな遮音材の開発、建築物の音響設計が可能となるほか、音がもたらす心理現象の実験の場としても活用できます。
③
残響室(全面コンクリート打放しの、音が良く響く空間)
大きさの異なる二つの残響室で構成されており、二つの部屋の間に防音ドアなどを施工して、遮音性能を測定するなど、JIS/ISOに準拠した実験が行えます。また、各種素材や仕上げ材等の有無によって生じる音の響きの違いを計測し、それら材料の吸音性能を確認するなど、多様な音響測定が可能です。
④
箱型実験室(住宅の上下階を再現)
マンションや戸建の上下階を想定した床衝撃音等の検証が可能です。箱型実験室は二室あり、一方では、RC構造での床衝撃音等が検証できるほか、もう一方では、上階の床を必要に応じて様々な床構造に変更可能なため、各種建造物を想定した幅広い実験が行えます。
【起工式について】
8月20日、『音ラボ』の着工にあたって、起工式を開催いたしました。当日は、当社および設計・施工業者の関係者など、計23名が出席し、『音ラボ』建設工事の安全を祈願しました。
【『音ラボ』建設概要】
名称 : 音環境ラボラトリー(愛称:『音ラボ』)
所在地 : 岡山県岡山市南区海岸通2丁目5番8号
敷地面積 : 1,170㎡
建屋概要 : 延床面積 977㎡ 鉄骨造 2階建
竣工予定 : 2025年10月
稼働開始予定 : 2025年10月
投資予定額 : 約13億円(建屋工事、音響実験設備を含む)
設計・施工 : 株式会社ナイカイアーキット/日本音響エンジニアリング株式会社
以上