“テクノロジーと「おっちゃん」の融合”を実現した物語
2012年のロンドン大会で引退していた伊藤選手でしたが、2016年にRDS 代表 杉原行里に出会い「なんでやめたんですか?」と言葉をきっかけに第一線への復帰を決意。そこから金メダルを目指したプロジェクトがスタートしました。感覚を数値化し、身体データをもとにしたトレーニングやマシン開発に取り組み、タイムは徐々に向上。ついには日本代表の切符を手にしました。
57歳で迎えた2021年の東京大会では、事前テストで(当初出場予定であった)T52クラスの世界最速タイムを記録するも、直前にT53へとクラスが変更となり入賞を逃す結果に。それから3年、一時はモチベーションを維持することが難しい時期もあましたが、パリ大会に合わせてトレーニングを重ね、2大会連続で日本代表となりました。パリ大会ではT52クラスに出場し優勝を狙います。
身体データをもとにマシンを開発『RDS WF01TR』
「RDS WF01TR」は、アスリート自身の能力を最大限に引き出し、競技パフォーマンスを向上させるために開発された陸上競技用車いすです。車いす陸上の伊藤智也選手を開発ドライバーに迎えたマシンの開発では、陸上競技場での走行テストだけでなく、モーションキャプチャーを活用した動作分析などを重ね、マシンの動きや走行中のフォーム、力の分散バランスなど「感覚を数値化」。
データもとにマシンをパーソナライズすることで、選手のベストパフォーマンスを引き出します。
金メダルが私たちの新しい日常に
RDSはこれまでもモータースポーツやパラスポーツなど、最高峰の舞台でプロダクト開発に取り組んできました。なぜ、RDSがスポーツに取り組むのか。その裏側にあるのは、モータースポーツもパラスポーツも、“最速を競う舞台であり、最先端の研究開発の場”という考え方です。そこではあらゆる技術が生まれ、そこで生まれた技術は、人知れず私たちの日常に落とし込まれています。
「RDS WF01TR」の開発では、車いすの座面の位置が人の能力に大きな影響を与えることが明らかになり、シーティングポジションの最適解を導き出すシミュレーター「RDS SS01※」を開発。その後は後継の「bespo」へと進化し、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)と車いすのパーソナライズを社会に落とし込むための共同研究を行なっています。
世界的車いす企業 ペルモビール社との提携が意味するもの
スウェーデン生まれの車いすメーカー『ペルモビール』は1963年の創業以来、電動、手動車いすや関連製品を世界中に送り出してきたリーディングカンパニーです。現在では、約70か国以上に展開しており、創業者のペル・ユデーン氏はスウェーデンの障がい者福祉を変えた人物としても知られています。
ペルモビールとRDSの両社は、人それぞれの身体データに合わせた車いす開発“車いすのパーソナライズ”というミッションを共有しており、互いに蓄積してきた知見や最先端の技術を共有し、日常に落とし込んでいくための取り組みをスタートします。既に、RDSの『bespo』『MIGRA』によって導き出されたデータをもとにペルモビールの車いす『TiLite』に応用する実験をスタートしており、9月からはニュージーランドでの実証実験もスタートします。
Permobil:https://www.permobil.com/ja-jp
伊藤智也選手について
1963年、三重県生まれ。従業員200人を超える人材派遣会社を経営していたが、1998年に多発性硬化症を発症し車椅子生活に。翌年から車椅子陸上競技を開始し、数々の記録を樹立。2005年に障がい者で唯一、ギリシャのマラソン博物館殿堂入りを果たした。2008年の北京では400m、800m共に世界記録で金メダルを獲得、2012年ロンドンでは200m、400m、800mで銀メダルを獲得したのち、引退。2017年夏、現役選手として復帰し、2021年東京大会に出場。2024年パリ大会では60歳での金メダルを狙う。
株式会社RDS
会社名 株式会社RDS
設立 1984年 3月
代表者 代表取締役社長 杉原行里
所在地 東京デザインオフィス 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-3-4 1F・2F
R&Dスタジオ 〒369-1211 埼玉県大里郡寄居町赤浜1860
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCiv1AQwoolXy-mbvnHSPGug
RDSは、「今日の理想を、未来の普通に。」をコンセプトに、新しいデザインそしてモノ作りのカタチを世界に発信するデザインテック企業です。様々な分野の専門家チームと最新の設備を備えた自社ファクトリーで、アイデアをすぐにプロトタイプに落とし込めることがRDSの最大の強みであり、デザイン・データ・テクノロジーをキーワードに、モータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わってきました。イタリアで開催される世界最高峰のデザインアワード「A’ Design Award & Competition」で最優秀賞を受賞するなど国内外で高い評価を得ています。