キッズデザイン賞は、「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、製品・サービス・空間・活動・研究の中から優れた作品を広く社会に発信していくことを目的に2007年に創設された賞です。
「やさしいワイシャツ」は「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」で受賞いたしました。
-
開発背景・取り組み
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さをかかえている状態をいいます。発達障害の人に多く見られる症状ですが、うつ病、自律神経失調症、認知症、脳卒中や高次脳機能障害などの様々な病気の症状としても感覚の過敏性が見られます。
感覚過敏のある人の中には、衣服の着用によって痛みや不快感を感じる方がいらっしゃいます。学校指定の制服がある場合、制服の着用に課題があり、不快感を感じながら学校生活を送る生徒や、不登校になる子どももいます。
感覚過敏のある方々の学生服の悩みを解決しようとカンコー学生服と感覚過敏研究所との共創プロジェクトが立ち上がりました。制服の中でも肌に触れるワイシャツから取り組むこととなりました。
縫製仕様・素材感・デザインは感覚過敏当事者でもある感覚過敏研究所の所長、加藤路瑛を中心に、制服に悩む中高生へのヒアリングや試着会を行いながら開発しました。
-
商品紹介
商品名:やさしいワイシャツ
製造:カンコー学生服
素材:綿100%(綿の原産国:エジプト 生地の生産国:日本)
生産国:ベトナム
サイズ:S、M、L
色;白
商品ページ:https://kankakufactory.com/products/kanko-y-shirt
-
商品特徴
以下のようなワイシャツの課題解決に挑戦しています。
①縫い目やタグなどが肌に触れないデザイン
・生地の端を巻き込む「巻き伏せ縫い」を採用。フラットな縫い目で肌への刺激を減らしました。
・裾の生地端を外側に折り込んでおり、折り込み部分が肌に当たらないようになっています。
・首元についていることが多いタグはすべて外し、サイズなどの必要な内容はケアラベル(肌に当たらない胸ポケットの内側に取り付け)に記載しました。
②首回りを締め付けないやわらかな襟元
・襟をひとつのパーツで仕立てることで、段差はもちろん、生地の厚みや縫い目も大幅に減らしました。
・型崩れ防止や耐久性を高めるため、生地の内側に貼る芯地もやわらかさにこだわりました。
③ハイグレードな綿100%の生地
・長さも細さも最上級のコットンを使用し、やわらかく着心地の良い風合いです。
④着心地とフォーマル性の両立
・着心地を良くする様々な仕様を盛り込みつつ、外観は従来のカッターシャツと大きく変わりません。
・一番上のボタンを外しても襟元が開きすぎないボタン間隔にこだわりました。
-
キッズデザイン賞
キッズデザイン賞は、「子どもたちが安全に暮らす」「子どもたちが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たす、製品・サービス・空間・活動・研究の中から優れた作品を選び、広く社会に発信していくことを目的に2007年に創設されました。
子ども用にデザインされたものはもちろん、大人・一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てに配慮されたデザインであればすべてが対象です。
https://kidsdesignaward.jp/
主催:特定非営利活動法人キッズデザイン協議会
後援:経済産業省、内閣府、消費者庁、こども家庭庁
表彰部門:
・子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門
・子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門
・子どもたちを産み育てやすいデザイン部門
第18回受賞作品:
https://kidsdesignaward.jp/docs/2024/18thKDawardPressrelease20240821.pdf
-
菅公学生服株式会社
1854年(安政元年)創業。学校制服・体操服を通じて、子どもたちと学生生活を支えるすべての人々に寄り添い、さまざまな社会課題を解決するスクールソリューションカンパニーです。
https://kanko-gakuseifuku.co.jp
-
カンコー学生工学研究所とは
子どもたちを「カラダ」「ココロ」「時代」「学び」の4つの視点で見つめるカンコーの「学生工学」という考え方。この考えのもと基礎研究を行い、時代性、子どもたちの成長、嗜好などを調査し、新たな価値を創出することが私たちカンコー学生工学研究所の使命です。また社外にも門戸を開き、思いを共にする企業や研究機関と共創することでこれからの活動をさらに深め、学生たちや保護者の方々、学校・地域社会の皆さまが求める 「学生にとって本当に価値あるもの」を創出していきます。そして、その先にある安心で快適な学生生活の実現を目指します。
https://kanko-gakuseifuku.co.jp/lab/
-
感覚過敏研究所
感覚過敏研究所は感覚過敏の課題解決のために2020年1月に発足。感覚過敏の啓発活動、商品・サービスの企画・開発・販売、感覚過敏の研究を行っている。
また、感覚過敏課題解決アパレルブランド「KANKAKU FACTORY」を展開している。
-
所長 加藤路瑛
2006年生まれ。2018年、12歳の時に起業し、株式会社クリスタルロードを設立。代表権が取れない年齢のため、親子起業スタイルで起業し、代表権のない取締役社長に就任。年齢、お金、病気、障害、性別、国籍、常識などを理由に「今」をあきらめない社会を作ることを目指し、さまざまな取り組みをしている。現在は感覚過敏研究所の事業に注力。2021年6月、代表権を取得し代表取締役社長に就任。Forbes Japan 30 U30 2023「世界を変える30歳未満」選出。IPA 2023年度未踏IT人材・育成発掘事業採択 未踏クリエイター。
SNS:https://x.com/crystalroad2006
-
株式会社クリスタルロード
創業:2018年12月
本社:東京都中央区日本橋横山町6−14 日本橋地下実験場
代表:加藤路瑛
事業:センサリーインクルーシブ事業
URL:https://crystalroad.jp/