「カゴノオト」は、高知県四万十町という小さな町にある菓子店です。
2011年の東日本大震災を機に東京から移住し、有機農家のもとで働いた後、地域の素材を1年かけて集めて作る「1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレン」の製造・販売を手掛けています。
【 なぜ1年かけてシュトーレンを作るのか】
シュトーレンは市販のドライフルーツを使えばもっと早く、手軽に作ることができます。
しかし、それでは私たちの届けたいものは届けられません。
地域に暮らし、1年をかけて生産者さんから果物を直接購入することは、ただの買い物ではなく生産者さんの日々の営みに敬意を払うことにつながります。
果物ひとつひとつに物語があり、それを知ることで一つ一つの果物に真剣に向き合い、素材の個性を最大限に引き出すことができます。
効率化が進む現代において、あえて時間をかけて生産者さん、素材に向き合うことが、人の持つ可能性、ものづくりの可能性を広げると考えています。
シュトーレンを通じて、そのメッセージを届けていきたいのです。
【安さ、早さからの脱却】
東京から高知県四万十町に移住し、有機農家のもと働く中で感じたのは、農産物の価格にその労力が反映されていないという現実でした。
兼業農家の家庭で育った私にとって農業は身近でその大変さを知る身として、農産物が「安さ」でしか評価されない現実に悔しさを抱いていました。
その悔しさを胸に自分自身も農業をし、多くの魅力的な生産者さんと出会う中で「大変さ」を伝えるのではなく「素材」「体験」「製法」に徹底的にこだわったシュトーレンを作り、地域と人の魅力を伝えていこうと心に決めました。
【素材】
四万十の豊富な日照時間と昼夜の寒暖差は果物を甘く育て、四万十川の清らかな水が素材を一層おいしくしてくれます。長年農業が盛んに行われ技術、知識、設備など膨大な蓄積があり、それぞれの特性を熟知した農業のプロが生み出す果物は地域と人が織りなす最高傑作。味が濃くて透明感のある最上級の素材をシュトーレンに使っています。
地域に暮らしているからこそ、果物の旬のおいしさを逃がさずタイムリーに購入でき、関係性があるからこそ市場になかなか出回らない素材を入手でき、その結果、唯一無二の味わいを生み出しています。
【体験】
四万十に移住する前、東京のホテルでコックとして働き、そこで味を総合的に組み立てる技術、素材に合った加工をすることで味を引き出す技術を習得しました。さらに素材の育つ現地へ通い、移住後は自分でも農業をし、その体験があることでより深く素材を知り、素材にあったおいしさを引き出しています。
【製法】
果物本来の風味を損なわず、豊かな味わいに仕上げる製法は時間と手間がかかりますが、それが手作りの醍醐味でもあります。
ブルーベリーはセミドライにした後ブルーベリーシロップで煮込み、旨味を凝縮。
柚子は皮に甘さを入れるため3か月間粗糖に漬け込み、文旦や小夏は皮と実を別々に仕込み香りと食感を楽しめるよう最後に合わせる2段仕込み。
有機栽培の生姜はスパイスとして、すだちの鮮烈な酸味で味を引き締め、ラム酒に漬け込んだ干し芋が新しい風味を加えます。
12種類の果物に合わせた加工法にこだわり、果物の個性を最大限引き出します。
また、季節ごとに「チョコ」「いちご」「ブルーベリー」「お茶」「栗」といったシュト―レンも製造し、これまでに累計1万本のシュトーレンを作りました。
レシピは毎年バージョンアップし技術を進化させています。
【そもそもシュトーレンとは】
シュトーレンはドイツ発祥のクリスマス菓子で、近年日本でもさまざまな種類が作られています。通常は市販のドライフルーツを使用しますが、カゴノオトでは地域の新鮮な素材を使用しています。
【1年かけた四万十の旬でつくるシュトーレン】
柚子、金柑、いちご、栗、生姜など、高知県・四万十の素材をひと月ごとに仕込み、12ヶ月分のおいしさをひとつに詰め込んだシュトーレン。 1年の時間を刻んだシュトーレンは、1年の締めくくりにぴったりの贅沢なスイーツです。
【ここはこんなに豊かな場所だったんだ、、】
地元の方がカゴノオトのシュトーレンについて知り「四万十はこんなに豊かな場所だったんだ」と改めて気づいたと語ってくださいました。
過疎化や高齢化など地域の課題がある中で、外からの視点で地域の再発見につながったシュトーレンを作り続ける事で、私たちが地域の希望となり、地域を元気にしていけると信じています。
【大切にしているもの】
私たちが大切にしているのは生産者さんとのつながりだけではありません。
インターネットで販売する際も、少しでも四万十の空気を感じてもらえるよう早期にご予約いただいた方にはシュトーレンの仕込みの様子や季節のメッセージを添えた手書きのはがきをお送りしています。
また、東京・新宿伊勢丹、大阪・阪急うめだなどで出張販売を行い、2024年10月、12月には関西の百貨店にも出展予定です。
2024年6月9日には、地域の小さなお店を応援する東京大手町「SPACES」さんの協力のもと「シュトーレン解剖博覧会」というトークイベントを開催しました。
総勢50名の方にお越しいただき、シュトーレン作りの裏側や生産者さんの魅力をお伝えしました。
ダイジェスト動画はこちら→https://youtu.be/MFqWF-vq37I?si=GQ5RukPk5K4t7sLj
さらに月に一度、生産者さんとお客さまをつなぐオンラインイベントも開催しています。
【つながりから生まれるもの】
さまざまなことを企画しお客さまと交流の機会を作るのには理由があります。
それは単に商品を販売するのではなく「作り手の顔が見える背景のある商品」をお届けする事で、つながりを感じられ、それがお客さまの豊かな時間になっていくと思うからです。
コロナ禍で移動が制限されていた時期には「帰省はできなかったけど、ふるさとを思い出しながら食べました」とお手紙をいただき、同じくコロナ禍で忘年会ができなかった方からは「1年分の果物の詰まったシュトーレンで1年の労をねぎらいました」と感謝の言葉を頂戴しました。また、喫茶店を開く方からは「地域に根差したお店を作りたいと思って購入しました」とメッセージを頂きました。
【1年に寄り添うシュトーレン】
おひとりおひとりに異なる物語や1年という時間があり、同じ時を刻んだシュトーレンでその年を締めくくる大事な時間に花を添えたい、「ありがとう」「おつかれさま」「来年もよろしく」そんな気持ちに寄り添うシュトーレンでありたいと、1年かけてシュトーレンを作っています。
その気持ちに共感して下さるたくさんの方がいらっしゃるおかげで、クリスマスの半年前に200本以上のご予約をいただいています。
こうしてご予約いただくことで、その方の顔を思い浮かべながらシュトーレンの仕込みができることは、私たちにとって大変心強い支えになっています。そのおかげで更に良いものをお届けしていこうと挑戦し、進歩することができます。
そのために、オンライン、オフライン問わずお客さまと丁寧に関係を築いていくことは、私たちにとって非常に重要なこと、そして使命でもあります。
豊かな大地で育った最高級の果物をふんだんに使い、経験豊富な職人がこだわり抜いた製法で作り上げたシュトーレンは、地域や人を元気にしています。
このシュトーレンを1人でも多くの方に知っていただき、届けたいという思いから、プレスリリースを作成しました。
田舎の小さなお店ですが、この夢のあるシュトーレンでさらなる高みを目指していきますので、どうぞ応援よろしくお願いします!