◆ 展覧会について、及び作品ステートメント
ベルリンカルチャーの重鎮、ベルリンアートウイーク2024にて、2023年個展で発表した生け花インスタレーション「Reaching into…」のリワーク作品を展示致します。
今回も作品のコンセプトとなる人類が初めて花を生けた時の状況を仮設し、極めてアナログな技法を用いながらも鑑賞者の想像力を発動させ、時間軸や体感温度変化の錯覚も誘発。最後は雑音が消え去り極々シンプルな植物との対話のみが存在する空間創りを今回は日本以外の場所で試みます。
全人類に備わる供花の精神を具現化した力作をベルリンにて派生させます。
(個展開催時のプレスリリーはこちら)
◆ 期間中の特別プログラム
作品と音楽の繋がりを常に意識し探求している熊野寿哉。今回の期間中にも現地で活躍するミュージシャン達とのセッションも用意されています。原始的な花材を用いて構成する作品とマッチさせるべく、12日、14日にドラマー二人との特別なライブパフォーマンスです。
12日 / Aoshima Chikara
15日 / Minami Kenji
時間などの詳細、その他情報のアップデートは熊野寿哉のインスタグラムにてリリースされます。是非チェックして下さい。
◆ 展示会場について
本年より、ベルリン・アート・ウィークのオフィシャル会場となったMaHallaは、19世紀後半にベルリン南東部Treptow-Köpenick(トレプトウ、ケーぺニック)のOberschöneweide(オーバーシューネヴァイデ)に世界初の三相交流発電所として建てられた。この地区は、当時工業革命時代を担う種々のプロダクトを生産していた地域ゆえにElektropolis(エレクトロポリス)と名付けられた。
元発電所+産業技術のショールームとして機能していたこの場所は、9000平方メートルの敷地と高さ12mの建物を持ち、現在は2つのメインホール、地下、ギャラリー、スタジオに区分されている。
ドイツ人映画作家/写真家のRalf Schmerberg(ラルフ・シュメーベルグ)氏が2020年にアートスペース、革新的な音楽、精神性、科学とコミュニティーの為に創設。90年代のアグレッシブだったベルリンを彷彿とさせる圧倒的で独特な施設は、スペシャルで創造的なイベント会場として存在感を放っている。
アートウィーク特設HP ← 入場料などの詳細はこちらのサイトに記載されています。
◆ 展覧会開催概要
日時:2024年9月11日(水)~15日(日)
【11日(水)はプレビューになります】
会場:MaHalla
住所:Wilhelminenhofstraße 76, 12459 Berlin, Germany
◆ アーティストプロフィール
熊野寿哉 Hisaya Kumano 花人 / 空間芸術家
1975年大阪産まれ。洋画家/陶芸品コレクターであった父の影響で、美術作品に囲まれた幼少時期を過ごす。大規模な美術専門施設を誇る港南高等学校美術科に進学し油絵を学ぶ。在学中、留学の為に一時渡米。現地の高校を卒業と同時に帰国。日本の高校は編入という形を取り卒業。その後東京文化服装学院に入学し、数年はファッション/衣装デザイナーを生業にするも、それまで培ってきた美意識との距離感に悩んでいた20代後半で“いけばな”に出会う。以来古典的なものから、現代美術として独自の解釈をした作品を創作し、国内の主要な能楽堂、有名旅館や飲食店、ファッションブランドの展示会、ラグジュアリーホテル、映画のセット内にて装花及びディレクションなど大規模なものから、ミニマルな要素を必要とするものまで幅広く携わり、その活動エリアは日本のみならず、NY、ソウル、ブエノスアイレスと広範囲に渡る。
2022年より開催されたマツモト建築芸術祭では3年連続で出品。初めの2年はアソシエイトプログラムをトータルプロデュース、国登録有形文化財 Satoyama Villa 本陣、日本浮世絵博物館にて多方面で活躍する能楽師、コンテンポラリーダンサー、音楽家らとコラボレーションを行い作品を発表した。
又パフォーミングアート作品もいくつも発表しており、演出、衣装、照明など総合的に手がる。
現在はどの組織にも属さず、指導もせず作品造りにのみ専念している。
植物の持つエネルギーや神秘性を最大限に引き出す為に、時としてそれらが飾られる大掛かりな空間までも造り込み、独特で幻想的な世界観の演出を得意とする。
◆ 展示録
2023年 個展「Reaching into…」渋谷elephant STUDIO
2023年 マツモト建築芸術祭2023「15 minuets after」日本浮世絵博物館
2022年 マツモト建築芸術祭2022「eleven nines the performance」
国登録有形文化財Satoyama Villa本陣
2021年 個展「eleven nines」中目黒Just Another Space
2022年 迎花 水道橋宝生能楽堂
2020年 Mouse on the keys ライブ中に生け花パフォーマンス HIKARIEホール
2019年 パフォーミングアート「CCD622-lightning」下北沢ハーフムーンホール
2019年 パフォーミングアート「CCD622」世田谷区三軒茶屋
ギャラリー展示(現地WS後)韓国ソウル
2018年 迎花 水道橋宝生能楽堂(東京)/ 金剛能楽堂(京都)
インターコアフュールジャパン創立50周年記念祝賀会会場装花
ハイアットリージェンシー東京(新宿)
2017年 装花 水道橋宝生能楽堂(東京)/ 大阪能楽会館(大阪)
2016年 迎花 水道橋宝生能楽堂(東京)/ 旅館三枡家(神奈川県湯河原市)
本郷求道会館 / 大阪能楽堂
2015年 装花 水道橋宝生能楽堂(東京)/ 金剛能楽堂(京都)
・マツモト建築芸術祭2024 「Panta Rhei」旧松本市立博物館
近い将来取り壊される建物とシンクロさせ、植物が成長と衰退を繰り返す作品を発表。期間約一月と植物を用いての展示としては極稀な実験的作品に挑戦、その珍しい演出に観客は目を輝かせていた。
・2023年 個展「Reaching into…」
人類が初めて花を生けた場所を想定した空間芸術を発表。広い会場の中央に設置された作品は、極々シンプルなものでありながらも、来場者が見た瞬間にズレる時間軸や、体感温度の変化なども演出され多くの来場者はその幽玄の世界に陶酔した。
・2023年 マツモト建築芸術祭2023「15 minuets after」日本浮世絵博物館
高さ3mを超える生け花作品を展示。石膏を雪に見立て幻想的な雰囲気で多くの人達を驚かせた。最終日には生け花、ダンス、音楽を溶け合わせたパフォーミングアートを発表。インプロヴ ィゼーションでのセッションに観客は感動を覚えた。
出演:アオイヤマダ・スティーヴ エトウ Youtubeにて動画を鑑賞頂けます。
・2021年 個展「eleven nines」中目黒 Just Another Space
約 10.000 本の裂いた竹を焦がし割った部分の色とのコントラストを造形物として構築し たインスタレーション作品。線上に重ねた竹の間に並ぶの南天の実は、人間の松果体の高さの平均値に位置づけられている。オープニングレセプションでは、新作のパフォーミングアートも披露された。
・2021 年「On 9 Rainy Days」(映像作品)
花人、音楽家、映像作家によるコラボレーション作品。9つの作品にはごくミニマムな音楽が乗せられており、雨の日に合わせて SNS に投稿された。9つの映像を同時に再生すると一つの曲として視聴できる。
・2020年Mouse on the keys ライブ中に生け花パフォーマンス 渋谷HIKARIEホール
バンド演奏中に巨大生け花作品を完成させるパフォーマンス。観客はその手際の良さとダイナミックさに圧倒された。
・2019年「CCD622–Lightning–」パフォーミングアート作品 下北沢ハーフムーンホール
音楽/ダンス/生け花を軸に構成されたパフォーミングアート作品。全て即興で進行され、違う分野の芸術が融合した時の新たな可能性を見出そうとする実験的な作品。衣装も担当。
出演: 熊野寿哉・アオイヤマダ・高村月・新留大介・キミジマアツオ
2018 年 「Con Cor Dance」世田谷 四軒茶屋
音楽/ダンス/生け花を即興で披露するパフォーミングアート作品。観客は事前にダウンロ ードした音源を視聴しながら街を練り歩くなど、参加型のパフォーマンスに異空間を堪能した。
出演: アオイヤマダ・熊野寿哉
2018年 インターコアフュールジャパン創立50周年記念祝賀会ライブパフォーマンス
ハイアットリージェンシー東京
・2017年「満次郎の会」宝生能楽堂・東京 水道橋
◆ 出版物
・2017 年 「顔華」
写真作品。写真家・池谷友秀氏と5年を掛けた共作のプロジェクト。日本、ギリシャなど 歴史ある国の神話や言い伝えをテーマに一種類の花を人の顔に生けると言うもの。ロケー ションもテーマに因んで、広島、金沢など多方面に出向いて撮影。(amazon にて発売中)
・2018年書籍「いけばな 花の話を聞くとき」
IBC パブリッシング それぞれの季節において数種の花材をピックし、その日本独特の 歴史的背景や、文化に基づいた逸話を日本語・英語で紹介した書籍。