アメリカ・ショービジネス界の4大栄誉の一つ、優れたテレビドラマ、番組を表彰するエミー賞に2024年、ディズニープラス制作ドラマ「SHOGUN」がドラマ部門で最多となる25ノミネーションを果たしました。栃木県在住の作曲家、石田多朗が総合音楽アレンジャーを務めたサウンドトラックもテーマ曲賞、作曲賞2部門で選出。雅楽、日本伝統楽器が効果的に使われた映像音楽、楽曲がエミー賞にノミネートされることは史上初の快挙です!
第76回エミー賞授賞式は、9月15日(日)(日本時間9/16)。石田も現地で発表を待ちます!
◆「SHOGUN」とは
2024年2~4月全10話が世界配信され、驚異的大ヒットを記録。日本の戦国時代を舞台にしたテレビドラマシリーズです。同作は俳優真田広之氏が主演、プロデュースを務め、日本の専門家たちが現地の制作チームと共に戦国時代、侍の文化を研究し、衣装や小道具、所作など細部まで徹底的にこだわって制作されました。
初回2話が配信開始6日間で900万再生を記録するなど大反響。リミテッドシリーズのはずでしたが、反響を受け、第2シリーズの制作が決まっています。
◆雅楽が生んだリアリティ。総合音楽アレンジャー、石田の抜擢
リアリティの追求は、サウンドトラックも然り。本作のサウンドトラックは、アカデミー賞受賞歴を有するアッティカス・ロスをはじめとするレオポルド・ロス、ニック・チューバの世界的音楽家3人が担当しました。脚本を読んだ彼らは自分たちの創るエピックに、「本物の日本の楽器を取り入れ、SHOGUNの世界を音楽で表現したい」と、日本音楽を研究。雅楽を取り入れた楽曲を手掛けていた石田を知り、Instagramを通じてオファー。
石田は総合アレンジャーとして加わり、3人のスケッチを基に伝統音楽のアレンジ、採譜、邦楽器演奏者のマネジメント、レコーディングなどを務めました。
ロサンゼルスのアッティカスらとリモートで連絡を取り合い、約2年。
ダイナミックなエピックと笙、篳篥といった雅楽楽器、尺八、胡弓、法螺貝、三味線などの邦楽器が融合。荘厳かつ繊細、ミステリアスな「SHOGUN」の世界を見事に表現しました。
例えば、アッティカスたちからビート感が強い音楽のスケッチと共に、そこに「日本的な要素を加えたい」との要望のメールが届く。石田は、仏教の経文を朗唱する「声明」を提案し、実際に日本のある寺院で録音、編集。その声明の音源は作曲家チームに大好評で、結果、日本の伝統的な響きを現代のビートに融合させることができました。声明の音源は「SHOGUN」のテーマ曲の他、様々なシーンでも使用されました。日米融合の音楽が一層の深み、臨場感を与え、陶酔させたと言っても過言ではありません。
そして、今回のエミー賞ノミネートです!
日本人のノミネート、受賞はメイクや衣装デザイン、アニメ監督賞などはありますが、日本の伝統音楽、雅楽を効果的に用いた音楽でのノミネートの前例はありません。
◆Atticus Ross,Leopord Ross,Nick Chuba※、3人からのコメント
After extensive research of contemporary Japanese classical music we kept seeing the same name Taro Ishida pop up. After looking him up we quickly realized we had found someone who would be a perfect fit. Taro has a vast knowledge of Gagaku music while also understanding modern recording technology and synthesis. We eventually connected with Taro on instagram and he proved to be an invaluable asset in our process to create the unique sound for Shogun.
訳):私たちは現代日本のクラシック音楽について徹底的に調査を行い、その過程で石田多朗という名前が頻繁に登場しました。彼について調べてみると、すぐに私たちのプロジェクトにぴったりの人物だとわかりました。多朗は雅楽に関する幅広い知識を持ちながら、現代の録音技術やシンセサイザーの知識も兼ね備えています。最終的に私たちは、インスタグラムで多朗と繋がり、『将軍』の独自のサウンドを作り上げる過程で彼が非常に重要な存在であることが分かりました。
◆石田多朗
【プロフィール】
1979年アメリカ合衆国ボストン生。作曲家、音楽プロデューサー、アートディレクター。上智大学で国文学・漢文学を専攻後、独学で音楽を学び、東京藝術大学音楽学部に入学。作曲、音楽理論、電子音楽を習得し、幅広い音楽的知識を得る。在学中から、作曲家として活躍。映画、CM、ゲーム、プラネタリウムなどへの楽曲提供の他、美術館、プロジェクションマッピングの音楽監督など多岐にわたるプロジェクトを手掛ける。栃木県那須町在住。
[主なプロジェクト] 東京都庭園美術館、金沢21世紀美術館、上海当代芸術博物館などで展覧会の音楽を制作。NHK主催福島復興プロジェクトのプロジェクションマッピング企画「はるか」(2017)、星野リゾート青森屋「みちのく祭りや」(2021.22)などで音楽監督を務める。
【雅楽との関り】
2014年 東京藝術大学陳列館「法隆寺金堂壁画展」会場音楽として新作雅楽 “骨歌”を作曲。
2021年 雅楽プロジェクト「どんぶらこ」始動。
2022年 新作雅楽アルバム「けもの」完成。
2023年 雅楽と西洋音楽の融合をテーマにした「Silence」プロジェクト始動。
2024年 雅楽に関するブログ連載「gagagku譚」をスタート。
2024年 9月下旬 雅楽新曲発表予定
2025年 1月 アルバム 発表予定
【石田より】
映像とサウンドトラックが合体した完成版を拝見した時、雅楽が様々な場面に散りばめられていて、台詞では描かれない要素を醸し出すなど、作品の重層感に寄与できたのではないかと感動しました。世界の先端を走るアッティカスたちが、雅楽や邦楽器のレコーディングを聴く度に、「マジカル!」「すごい!」と返してくれたこともすごく嬉しく、自信につながりました。
「SHOGUN」のサウンドトラックを通じ、雅楽をはじめとする日本の伝統音楽のクオリティ、ポテンシャルの高さは〝世界に誇れる〟と証明されたと思います。
現在、日本国内での伝統音楽への関心は必ずしも高いとは言えず、後継者不足や資金不足など多くの課題に直面しています。今回の反響を機に、その素晴らしさが再認識され、伝統音楽の未来に向けた前向きな取り組みが進むことを期待しています。
私自身も、西洋音楽と雅楽の融合に挑む、世界初の雅楽プロジェクトを進行中です。制作中の楽曲は、映画やゲーム、アニメなどのサントラとしての可能性を探ることを目指しています。映像やゲームを通じて若い世代の方々に自然な形で雅楽、日本の伝統音楽に親しんでもらい、日本文化の継承につなげられたら嬉しいです。
最後に、日本の伝統音楽の一流の奏者、関係者の皆さん、広大な情報の海から僕と雅楽を見つけてくれたアッティカス・ロスたちに心から感謝申し上げます。
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【取材に関するお問い合わせは、下記の通り】
株式会社Drifter 益子
電話:090-9314-7362
(授賞式期間はロサンゼルスにいるため、メールなどでご連絡下さい。
お電話は18日以降でお願いいたします。)
メールアドレス:mail@drftr.co.jp
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