三菱UFJキャピタル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 小島 拓朗)は、当社が運営するファンド(三菱UFJライフサイエンス4号投資事業有限責任組合)より、新規含ホウ素ナノ製剤を開発するRadioNano Therapeutics株式会社(以下、「RadioNano Tx社」)に対し、2024年9月12日に出資したことをお知らせいたします。
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ホウ素中性子捕捉療法と当社開発品RN-501について
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy, BNCT)は、熱中性子と10B(質量数が10であるホウ素の安定同位体)の核反応を利用し、生じたα粒子とリチウム原子核により、がん細胞を殺傷する放射線治療法です。中性子線は生体に対して無害であり、また、10Bの核反応で発生する重粒子の飛程はともに短く、その効果は局所的であることから、正常組織への障害が少なく、腫瘍に対する選択性の高いがん治療法です。
RadioNano Tx社が開発するRN-501は、京都大学大学院人間・環境学研究科の小松直樹教授と京都大学複合原子力科学研究所の鈴木実教授が開発した高親水性含ホウ素無機ナノ粒子であり、ホウ素中性子捕捉療法用がん治療薬として研究開発が行われています。RN-501は、1粒子中、約500万個の10Bを含むナノ粒子であり、がん組織への集積能・滞留性にも優れていることから、薬理モデルにおいて、強力な抗がん効果と高い安全性が示されております。さらに、がん免疫作用を誘導することも期待されております。
※BNCTの原理(上記図)
10B原子核が熱中性子を吸収後、直ちにヘリウム原子核とトリチウム原子核に分裂する。それぞれの飛程が細胞1個のサイズ以下であることから、10B原子核を標的とする細胞群に集積させると、その細胞群のみが傷害される。
(京都大学複合原子力科学研究所HPより転載)
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出資背景
三菱UFJキャピタルはRadioNano Tx社が開発するRN-501の有効性と安全性の高さのみならず、適応となるがん種の拡大およびがん免疫作用の誘導による再発予防効果に対する期待を込めて同社への投資を決定いたしました。
RadioNano Tx社への投資を通じ、新たながん治療の選択肢を患者様のお手元に届けることができるよう、他の投資家とともに同社経営陣およびRN-501をはじめとしたパイプライン開発への支援を進めてまいります。
【RadioNano Therapeutics株式会社 概要】
会社名:RadioNano Therapeutics株式会社
所在地:京都市左京区吉田本町 36 番地 1
代表者:千葉 雅俊
設 立:2024年4月1日
事業内容 :高親水性含無機ナノ粒子製品の研究開発
U R L :https://www.radionano-tx.com/
【三菱UFJキャピタル株式会社について】
三菱UFJキャピタルは、1974年に設立以来、三菱UFJフィナンシャル・グループのベンチャーキャピタルとして業界をリードするノウハウを提供し、幅広い業種に対する投資を行っています。IPOを実現されたお客さまは、幅広い業種にわたり約920社と、業界トップクラスの実績を有しています。
ライフサイエンス分野においては、2017年2月の1号ファンド以降、「三菱UFJライフサイエンス4号ファンド」(200億円)を含め計500億円と継続的にファンドを設立しています。ライフサイエンスに特化した民間ファンドの運営としては国内最大規模であり、創薬、再生医療、医療機器(デジタルヘルスを含む)などのベンチャー企業を対象に最長約12年間の期間で投資を行っています。バイオベンチャー投資にとどまらず、アカデミア創薬、製薬会社のカーブアウト案件、製薬会社の開発プロジェクトへの投資、医療機器関連にも注力しています。
◆会社概要
会社名:三菱UFJキャピタル株式会社
所在地:東京都中央区日本橋2丁目3番4号 日本橋プラザビル7F
代表者:代表取締役社長 小島 拓朗
設 立:1974年8月1日
事業内容:ベンチャーキャピタル事業
U R L :https://www.mucap.co.jp/
◆三菱UFJライフサイエンス4号投資事業有限責任組合について
投資対象:創薬、創薬基盤、再生医療、医療機器などを中心としたライフサイエンス分野
無限責任組合員:三菱UFJキャピタル株式会社
出資者:株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJキャピタル株式会社
設 立:2023年3月28日
ファンド総額:200億円