飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、飲食店におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策についてアンケート調査を実施いたしました。
本調査について
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:357
調査期間:2024年8月20日~2024年8月26日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち72.3%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は48.7%(首都圏の飲食店の割合は65.8%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
※カスタマーハラスメント(カスハラ)とは
顧客等からのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの
※厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアルより
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf
調査結果について
飲食店の55.7%が「カスハラを受けたことがある」と回答
まず、飲食店でカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けたことがあるか聞いたところ、「ある」(55.7%)、「ない」(36.7%)、「わからない」(7.6%)という結果に。半数以上がカスハラの経験があるということが明らかになりました。また、カスハラを受けたことが「ある」と回答した方に、直近一年の間にカスハラを受けた回数を聞いたところ、「1〜5回程度あった」が最も多く51.8%、続いて「1年以内にはなかった」(39.7%)という結果になりました。
飲食店で最も多いカスハラは「威圧的な言動」
次に、飲食店でどのようなカスハラを受けたかを聞いたところ、最も多かったのは、「威圧的な言動」(63.8%)、次点は「接客に対する不当なクレーム」(49.7%)、という結果になりました。4位にも「従業員に対する不適切な言動」(44.2%)がランクインする一方で、「商品に対するクレーム」は26.1%となっており、商品よりも従業員に対する不当なクレームが多いことがわかります。
また、「グルメサイト・SNSでの誹謗中傷・低評価」や「従業員の個人情報・写真をSNSに投稿」など、WebサイトやSNSでのカスハラも存在することが明らかになりました。
▼店舗で受けたカスタマーハラスメントの内容は?(複数回答)(N=199)
また、カスハラは増えていると感じるか聞いたところ、「非常に増えている」(9.5%)、「やや増えている」(36.7%)と46.2%が増加傾向と回答しており、「やや減っている」(12.6%)、「非常に減っている」(6.0%)と減少傾向と回答した18.6%の飲食店を大きく上回る結果となりました。
▼カスタマーハラスメントは増えていると感じますか?(N=199)
62%の飲食店が、カスハラによる影響で「従業員の体調・モチベーション悪化」
さらに、カスハラによってどのような影響が発生しているか、項目別に聞いたところ、最も影響が大きかったのは「従業員の体調・モチベーション悪化」(大きな影響が出ている:22%、やや影響が出ている:40%)で、続いて「カスハラ対応による業務時間圧迫(大きな影響が出ている:11%、やや影響が出ている:37%)という結果になりました。
▼カスタマーハラスメントによる飲食店への影響は?(N=199)
84%の飲食店は、カスハラ発生時の対応マニュアルを「作成していないし、作成予定もない」
次に、カスハラ発生時の対応策について質問しました。対応マニュアルを作成しているか聞いたところ、84.0%が「作成していないし、予定もない」と回答。「作成している」(7.0%)、「半年以内に作成する予定」と「1年以内に作成する予定」がどちらも4.5%という結果になりました。先の質問で、飲食店でのカスハラ発生頻度がそれほど多くないことから、対応策を準備するほどの重要性が感じられないことが推測されます。
また、法的手段を取った経験を聞いたところ、89.4%が「ない」と回答し、「ある」と回答したのはわずか5.5%でした。
法的手段を取った/取らなかった理由を具体的に聞いたところ、さまざまな意見が寄せられました。
法的手段を取った理由
・お金を払わない人がいたため (東京都/カラオケ・パブ・スナック/1店舗)
・酷い場合プロバイダー開示請求をする (神奈川県/中華/2店舗)
・法外な賠償責任を請求してきたため。 (大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・Googleと食べログの口コミが虚偽内容であり、弁護士に頼んで消してもらった。あることならわかるが、ないことを書かれた。(愛知県/フランス料理/1店舗)
法的手段を取らなかった理由
<お客様と店舗で対応>
・お店側とお客様側の話し合いで折り合いがなんとかついたから (大阪府/イタリア料理/2店舗)
・事実を突きつけたら相手側が低評価のコメントを削除したので (神奈川県/バー/3~5店舗)
・そこまで大事にはなっていないし、わかる範囲のネット上の誹謗中傷も正論で対処する。 (大阪府/専門料理/1店舗)
<どう対処すべきかわからない>
・やり方がわからない (東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・誹謗中傷の基準があいまいでどう行動していいかわからない (東京都/和食/1店舗)
・カスハラの明確な定義が難しい為 (東京都/カフェ/3~5店舗)
<費用対効果の懸念>
・弁護士費用の懸念 (東京都/フランス料理/1店舗)
・裁判費用が高くなるということと時間が取られるということ。 (千葉県/焼肉/3~5店舗)
・費用対効果で考えて割りに合わない (新潟県/洋食/1店舗)
<警察に通報>
・警察を呼んだ (神奈川県/専門料理/2店舗)
・警察がきたため無事に解決 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・お客様同志の暴力もあったため、110番通報し、出入り禁止にした。
<その他>
・法的手段を取るほどのカスハラに遭遇したことがない。だいたいは我慢できる程度のものでした。 (兵庫県/専門料理/11~30店舗)
・そういう場合出禁にしてます。 (東京都/寿司/1店舗)
・一時的なものは相手にしていない。ただし、継続的な場合は考える (東京都/バー/1店舗)
また、カスハラの被害を防ぐために具体的に対策をしている飲食店に内容を聞いたところ、「なし」という回答が目立つ中で、下記のような意見も寄せられました。
具体的なカスハラ対策
<予防策の徹底>
・予約時の注意事項等を増やす (東京都/イタリア料理/1店舗)
・店のルールを店内と店頭に表示しています (東京都/和食/1店舗)
・完全予約制にして相手を特定しやすくした (東京都/フランス料理/1店舗)
・防犯カメラ増設、店内に大きく防犯カメラ稼働中のステッカーを貼っています。 (東京都/焼肉/3~5店舗)
<マニュアルの作成>
・言葉の使い方やこうなった際はこうするなどのマニュアルの作成 (千葉県/焼肉/3~5店舗)
・予めマニュアルとルールの設定と、徹底を行っています。 (京都府/専門料理/1店舗)
<接客の向上>
・笑顔対応でそこまで問題は大きくならないことが多い (神奈川県/専門料理/2店舗)
・平等な接客とサービス向上を常に (東京都/その他/1店舗)
・こちらにも非がある事もあると思うので、従業員の接客態度向上 (東京都/テイクアウト/1店舗)
講習・指導が必要です。 (京都府/ラーメン/51~100店舗)
<毅然と対応>
・責任者がキッパリと対応する事にしている (新潟県/ラーメン/3~5店舗)
・責任者が毅然とした態度をとり、会社として不当な要求には断固屈しない姿勢を示す (新潟県/洋食/1店舗)
・毅然とした態度で対処する。グルメサイトなら、サイトに事実を伝え取り下げさせる。兎に角事実を伝えてわからせる。 (大阪府/専門料理/1店舗)
<警察に連絡>
・謝って、ダメなら迷わず警察に連絡 (東京都/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・カスハラの内容・対策を頭に入れそれに値すれば警察を呼ぶ (神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
東京都の「カスハラ防止条例」の認知度は約半数
続いて、東京都が現在制定を進めており、2025年4月から施行予定の「カスハラ防止条例」について、認知度と期待度について聞きました。
認知度については、「知っている」(18.5%)、「聞いたことがある程度」(31.7%)に対し、49.9%が「知らない」という結果になりました。また、カスハラ防止条例に対する期待度については、「とても期待している」(18.2%)、やや期待している(30.3%)と48.5%が期待していることがわかります。
※東京都の店舗に絞って分析してもほぼ同様の結果となりました
最後に、東京都のカスハラ条例に対する期待度について具体的に聞いたところ、さまざまな意見が寄せられました。
東京都「カスハラ条例」への期待度
<期待している>
・カスハラ防止条例のポスターなど店内に掲示しお客様の意識改革 (愛知県/テイクアウト/1店舗)
・何も無いより抑制になるとおもう (大阪府/和食/11~30店舗)
・全国に広がっていってほしいため (愛知県/専門料理/3~5店舗)
・飲酒マナーの向上や基準が示されるので (東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・従業員の飲食業離れに歯止めをかけて欲しい (千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・条例違反となれば、裁判でもなんでも、こちらに有利なので (東京都/洋食/1店舗)
・自店でのマニュアル作成には限度があり、とても手間がかかるから。条例であれば、助かる。 (沖縄県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・明文化されたガイドラインがあれば、いざという時の手助けになります。 (大阪府/カフェ/1店舗)
・条例が周知されてくれば減っていく。特にSNSに尽力願いたい。 (東京都/イタリア料理/3~5店舗)
<期待していない>
・所詮条例だから (神奈川県/焼肉/3~5店舗)
・グルメサイト等の匿名のクチコミは取り締まれないので (東京都/イタリア料理/1店舗)
・東京都からの発信でも、浸透するまで なかなか時間がかかると思う (東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・行政の動きの速さと処罰内容に期待できないので (東京都/フランス料理/1店舗)
・条例があってもカスハラをするような人には効果がないと思うため (千葉県/焼肉/3~5店舗)
・罰則など強制的なものがあれば一定の効果が期待できると思うが、単なるガイドラインや啓発だけで改善するならこんな苦労はしない。(自転車のヘルメットの努力義務が広がらないのと同じ) (東京都/カフェ/2店舗)
<その他>
・東京のことで、大阪では盛り上がっていない。 (大阪府/テイクアウト/1店舗)
・まずは防犯カメラの無償設置をお願いしたい。 (京都府/バー/1店舗)
・詳細を知らない(東京都/その他/1店舗)
・条例を見ていないので、分からない。 (神奈川県/和食/1店舗)
調査結果の引用時のお願い
・クレジットに「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」
(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
株式会社シンクロ・フードについて
当社は、”多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる”というビジョンのもと、飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営しています。テクノロジーを最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な「ヒト・モノ・情報・サービス」など多様な選択肢をシンプル・スピーディに提供していくことで、飲食業界の発展・関わる人のしあわせに貢献してまいります。
【本社】 東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン3階
【代表者】 代表取締役 藤代 真一
【上場市場】 東京証券取引所プライム市場
【URL】 http://www.synchro-food.co.jp/
【運営サイト】
▼飲食店開業・運営支援のサービス
・飲食店の出店・運営支援サイト「飲食店ドットコム(https://www.inshokuten.com/home/ )
・飲食業界専門の求人サイト「求人飲食店ドットコム」(https://job.inshokuten.com/ )
・SNSショート動画アルバイト求人サイト「グルメバイトちゃん」(https://gourmet-baito-chan.com/ )
▼飲食業界を超えて広がるサービス
・店舗デザインのポータルサイト「店舗デザイン.COM」(https://www.tenpodesign.com/ )
・キッチンカーシェア・マッチングサイト「モビマル」(https://mobimaru.com/ )
・インテリア業界や建築業界特化型の求人情報サイト「求人@インテリアデザイン」(https://job.tenpodesign.com/ )
・農業の求人情報サイト「農業ジョブ」(https://agrijob.jp/ )
・飲食業界に精通した税理士事務所とのマッチング「飲食店ドットコム 税理士探し」(https://www.inshokuten.com/food-accounting/)
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報 今西・大木
Mail:public-relations@synchro-food.co.jp