ヒトトバデザイン株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:井上 貴文)は、山形市蔵王温泉エリアの観光活性化を目的として、高見屋旅館(本社:山形市蔵王温泉、代表取締役社長:岡崎 博門)と共に、地域の不動産の利活用や宿泊・飲食施設を誘致するなどの街並み整備事業に取り組む株式会社Yuge(本社:山形市蔵王温泉、代表取締役社長:井上 貴文、岡崎 博門、以下「Yuge」)を設立したことをお知らせいたします。
■かつての蔵王温泉・高湯通り(過去)
開湯1900年という長い歴史を持つ蔵王温泉は、山形県内最古の温泉街です。山形県と宮城県をまたぐ蔵王連峰の西麓・標高880mに位置し、5つの温泉群と47の源泉があります。
スキー場と温泉街が隣接し、秋の紅葉も美しい蔵王温泉エリアは、1990年代にはバブル景気やスキーブームなどで賑わい、多くの商店のほか、企業の保養所や富裕層の別荘も林立するなど、活気が溢れていました。
■蔵王温泉の抱える問題(現在)
しかし、蔵王温泉を取り巻く状況は、年々変化しています。最盛期には年間250万人を誇った観光客数は、半分以下の100万人程度まで減少しました。事業承継の課題も抱え、蔵王温泉に暮らす人口は今や最盛期の6分の1程度の約300人強となりました。
2020年、新型コロナウイルスの世界的流行に伴い、日本各地の「地域= ローカル」は否応なくその足元を見つめ直す必要に迫られました。
観光を主要産業とする山形県山形市蔵王温泉も例外ではなく、人の移動制限によって生じた経済的な損失は、少子高齢化などによる地場産業の衰退、まちの賑わいの消失をより加速化させ、まちをめぐる様々な課題が顕在化するに至りました。
■これからの「蔵王温泉」のために(未来)
暮らす人、訪れる人、働く人。蔵王に関わる様々な人々のために、改めてこのまちに明かりを灯したい。そんな想いで、地元で旅館業を営む株式会社高見屋旅館と都市づくり、まちづくりに取り組むヒトトバデザイン株式会社が協働し、遊休不動産の利活用、また地域内外から蔵王のこれからを共に担う人材を誘致するべく、Yugeを設立しました。
「Yuge」という社名には、絶え間なくもくもくと湧き上がる高湯通りの湯気のように、蔵王温泉のまちづくりに真摯かつ継続的に取り組もうという強い意思を込めました。
■新会社Yugeの取組みについて
「高湯通り」の玄関口、バスターミナルから徒歩1分に位置する遊休不動産を利活用し、地域に開かれ、多様な人々がふらっと立ち寄りたくなるような場の創出を目指しています。
今冬のオープンを予定しており、テナントは直営の温泉饅頭茶屋「高湯饅頭 湯ノ香」の他、事業づくり、まちづくりへの想いに共感してくださった「山形蔵王温泉食堂」様にもご出店頂きます。
Yugeの取組みが触媒となり、多様な取り組みが誘発されることで、地域内外の関係人口も増え、結果として蔵王温泉が面で活性化するという正の循環を創り出していきたいと考えています。
尚、2025年1月18日、19日にはグランドオープンイベントを開催致します。まち歩きや温泉巡りの際に是非お立ち寄りください。本格的なスノーシーズンを迎えた、自然豊かな蔵王で皆さまをお待ちしております。
■創業の想い
岡崎からのコメント
1716年に初代岡崎彌平治が蔵王温泉で深山荘高見屋を創業して以来、この地で代々旅館を営んでおります。先人たちは蔵王の自然、温泉を守り、訪れる多くの旅人に癒しを与え蔵王温泉の発展に寄与してきました。
私が幼少の頃に見た蔵王温泉高湯通りの景色は、硫黄の香りと湯気に包まれた狭い道を多くのお客様がぞろぞろと歩き、地元の住民は彼らを精一杯もてなそうという活気に満ち溢れた場所でした。決して長い通りではありませんでしたが、「この通りを歩けば何か楽しい時間を過ごせた」ように私自身は記憶しております。
しかしながら、時代の流れとともに後継者の問題等で空き家や空き地が増え、熱気に満ちていた通りはいつの日か寂しさを感じる通りになってしまいました。
この度、大学時代からの友人である井上さんと手を取り、新たに「Yuge」を設立しました。井上さんはハーバード大学デザイン大学院で都市計画とまちづくりを学び、十数年にわたって蔵王温泉を訪れ、その変遷を見守ってきました。井上さんと私とは異なる視点を持ちながらも、同じ情熱を共有し、共に蔵王温泉の課題に取り組み、多角的な視点から解決策を模索しています。
私たちの目標は温泉の湯気が立ち上るように私たちの事業が地域に浸透し、活気をもたらし、温かい雰囲気を醸し出すことを目指しています。地域の持つ潜在的な魅力を最大限に引き出し、訪れる人々にとっても地元の方々にとっても心地よい環境を創り出すため、力を注いでまいります。
井上からのコメント
岡崎さんとは大学時代に出会い、これまで何度も蔵王温泉にお邪魔させて頂きました。
お邪魔する度、岡崎さんをはじめとするまちの人々に歓待して頂き、まちの人々の温かさ、ホスピタリティは母なる蔵王連峰の懐の広さでもあるように感じたものです。一方、十数年来訪れていると、まちの景色が変わったことにも否応なく気付かされます。
私のライフミッションは「多様な人々が生き生きする都市空間、コミュニティの創造に寄与する」ことです。
蔵王温泉というまちを愛し、貢献していきたいという強い志を持つ岡崎さんとタッグを組み、遊休不動産を利活用してまちのにぎわいを取り戻せないだろうか。いつからかそんなことを考えるようになりました。私自身は蔵王温泉の出身ではないですが、これまでお世話になった方々、可愛がってくださった方々に恩返しをしたい想いもあります。
大学時代に出会い、その後別々のキャリアを歩んだものの、何かのめぐり合わせか同時期にアメリカの大学院にも留学しました。岡崎さんはコーネル大学ホテル経営大学院でホスピタリティを、私はハーバード大学デザイン大学院で都市計画・まちづくりを学びました。
20代駆け出しの頃に比べて一回り成長した自分たちが、それぞれのプロフェッショナルとしての職能、リソースを持ち寄り、このまちに一つでも多く明かりを取り戻すべく、まちの未来と向き合っていきたいと思っています。
■入居予定店舗「山形蔵王温泉食堂」からのコメント
山形蔵王温泉食堂概要
山形は蔵王まで旅をし、山で遊び、温泉に癒され、カツ丼を頬張り、宿を愉しむ。かつて賑った古き良き時代や文化の流れを汲みつつ、スキー温泉街の麓の日常に溶け込んだ食堂を復活させるべく、山形は蔵王温泉にて「人、食材、歴史」にフォーカスを当てた食堂をオープンします。
店舗・事業責任者の小川拓眞 氏からコメント
私はこれまで日本各地で飲食店の事業立ち上げをしてきました。北海道余市、栃木県宇都宮市、群馬県前橋市、新潟県佐渡島、京都府綾部市、滋賀県琵琶湖氏、岐阜県白川郷・・・などなど。これまでの経験を通じ、食文化における創生とは、新しい文化を作る事ではなく、これまでの歴史や文化を大切にしながら今後に繋げていける可能性を探るということだと考えるようになりました。それぞれの地域には土地柄故の食文化があり、地場の飲食店に限らず家庭で大切にされてきた味や、食文化を繋いできた人々の人柄の存在までに想いを馳せ、理解しようとすることが重要だと思います。その先にこそ、本当の意味での地域創生に繋がる飲食のあり方が模索できると考えています。
山形県では蔵王温泉という土地に向き合い、土地の魅力やポテンシャルに期待して訪れる方々に豊かな飲食体験と癒しを提供できればと思っています。
■設計パートナーからのコメント
iVY Design Associates(アイビー)概要
アイビー建築事務所はボストンを拠点に、日本とアメリカを始め、ヨーロッパやアフリカでプロジェクトを展開しています。設立者の山本純子とロベルト・ヴィオラ・オチョアは、住宅や公共・商業建築、都市計画、展示会、家具など、幅広いデザインを手掛けています。先入観や固定観念にとらわれず、常に学び続けることが基本であり、クライアントとの対話やリサーチを通じてプロジェクトの背景を深く理解するプロセスを大事にしています。
プリンシパルの山本純子 氏からのコメント
井上さんからのお声がけで、デザインのお手伝いをさせていただくことになりました。井上さんとは、ハーバード大学デザイン大学院で知り合い、その頃からのお付き合いがあります。
私は群馬県の山に囲まれた地域で育ち、伊香保や草津などの温泉地が身近にありました。蔵王温泉を訪れた際、美しい山々と懐かしい町並みが育った環境と重なり、非常に感動したのを覚えています。岡崎さんとはその時に初めてお会いし、高湯通りを案内してくださったときに仰った、「昔は密に並んだ通り沿いの建物が空を狭く縁取っていた」という詩的な言葉が、深く印象に残っています。
今回のリノベーションでは、地域の思い出に刻まれている「丸伝」の記憶を残しつつ、人が心地よいと感じ、嬉しくなるような空間を創り、訪れる人達が気軽に立ち寄れる場所、集える場所、高湯通りに活気や灯りが広がっていく場所を創りたいと思います。Yugeの蔵王温泉とその緑豊かな地域への深い愛情とまちづくりに対する情熱に強く共感し、デザインを通して精一杯サポートさせていただきたいと思っています。
【株式会社Yuge 概要】
会社名:株式会社Yuge
代表者:井上 貴文、岡崎 博門
住所:山形県山形市蔵王温泉973-7
【株式会社高見屋旅舘 概要】
会社名:株式会社高見屋旅館
代表者:岡崎 彌平治
住所:山形県山形市蔵王温泉54番地
URL:https://www.zao.co.jp/takamiya/
【ヒトトバデザイン株式会社 概要】
会社名:ヒトトバデザイン株式会社
代表者:井上 貴文
住所:東京都渋谷区渋谷2-19-15 宮益坂ビルディング609
URL:https://www.hitotoba-design.com/
【本リリースに関するお問い合わせ】
株式会社Yuge
お問い合わせ先:info@yuge-zao.com