※遺珠【いしゅ】拾い残された宝玉。転じて、世に知られぬまま残された優れた作品のこと。
異世界の先駆者、諸星大二郎の短編16編を収めた待望の作品集の登場です。幻のデビュー作『ジュン子・恐喝』を収録! 描きおろしカバーで発売です。
「十年ほど前、古い単行本の新装版や、昔の作品を新しく編集した短編集などが、矢継早に出た時期がありました。その時、決まって頼まれたのが、描き下ろしの短編を載せるということでした。以前出た本をすでに持っている読者も購読者層に加えようという狙いはわかるのですが、こうも思ったものです。ある読者によっては、8ページからせいぜい16ページほどの短編一本を読むために、既に持っている本とほとんど同じ内容の本を、もう一冊買うことになるのではないかと……。なんか詐欺……と言っては言い過ぎですが、何だか申し訳ない気がしたものです。
そこで考えたのですが、この時期、そうやって描いた短編が十何本かあったので、それらをまとめて一冊の本にできないかということでした。<中略> そんな妄想も忘れた頃、単行本未収録のものや、あまり知られていないものを集めて本にできないかという企画が来ました。そこでこれ幸いと、それらの短編と、あちこちの特集本やら何やらに描いたものも集めて、何とか一冊、本にしてみることにしました。それがこの本……というわけです。」(あとがき より)
[著者プロフィール]
諸星大二郎 もろほしだいじろう
1949年生まれ。70年「COM」掲載の『ジュン子・恐喝』でデビュー。74年『生物都市』 が第7回手塚賞に入選。ホラー、SF、歴史物、ファンクジー、ギャグなど幅広い作品を発表し続け、独自の作風で多くの漫画家やクリエイターに影響を与える。 『稗田礼二郎(妖怪ハンター)シリーズ』『暗黒神話』(以上集英社)『マッドメン』(秋田書店)『栞と紙魚子シリーズ』(朝日新聞出版)『西遊妖猿伝』『BOX~箱の中に何かいる~』(以上講讃社)など代表作多数。 現在、モーニング・ツーにて『シリーズM』 連載中。
[収録作]
彼方へ
カタツムリの話
連鎖
飢餓の予感
生存(原題:飢餓の季節)
加奈の失踪
イカの怪
寝つきいいキツネ
羿 日輪を射る
昆侖の虚
ある夜の対局
鳥人の森
波子を捜して(原題:波子を探して)
神宮千恵子のハロウィン
ジュン子・恐喝
『諸星大二郎短編集 彼方へ』
諸星大二郎 著
講談社 刊
¥1980(税込)
ワイドKC A5判 本文248P(うちカラー32P)
ISBN978-4-06-536730-8