エスパス ルイ·ヴィトン大阪は、ドイツ人アーティスト ウラ·フォン·ブランデンブルクによる個展「Chorsingspiel」を2024年11月27日より2025年5月11日まで開催いたします。
本展は、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ·ヴィトンにてフォンダシオン ルイ·ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行うもので、国際的なプロジェクトの実施を通じて、より広くグローバルな観客に作品を届けるというフォンダシオンの理念に基づいています。
ウラ·フォン·ブランデンブルクの作品は、映像やドローイング、壁画、オブジェ、インスタレーションなど多岐にわたりますが、いずれの作品もより大きな舞台空間の延長、あるいはその一要素として捉えることができます。フォン·ブランデンブルクは、ドイツのハンブルク美術大学に進学する前に舞台美術を学び、今なお演劇の世界に強い愛着を持ち続けています。「垂れ幕」は彼女の作品に繰り返し登場する要素で、劇場から本物の緞帳を借りてきて舞台に取付けたり、色とりどりのキルトで表現したりとさまざまです。これらの布は、彫刻と絵画の性質を併せ持ち、展示空間を形作ったり、区切ったりする役割も果たします。あらゆる空間を作り出し、時に映像が投影される空間へ導く通路ともなるのです。
像やビデオは、フォン·ブランデンブルクが作品制作によく用いる手法です。一見矛盾するようですが、映像の技術を用いることで、古典悲劇といった現代演劇以前の形式を復活させています。一般的に時代遅れとみなされる表現形式への関心は、彼女の作品に繰り返し表れるテーマの1つ。彼女が好んで用いる図像は、19世紀から20世紀への転換点、つまりオカルトへの傾倒から合理主義へと移行する時代と密接に結び付いています。多くの作品に登場するのは、心霊写真、催眠術から精神分析への変遷、タロットカード、秘密結社などのモチーフ。象徴主義的な想像力を改めて受け入れることで、19世紀末の芸術運動が持つ神秘主義的な側面や「総合美術(Gesamtkunstwerk)」が抱いた理想を現代に蘇らせています。同時に、近代化の中で見過ごされてきた、あるいは抑圧されてきた根源的な要素にも光を当てているのです。
「Chorsingspiel」展では、フォンダシオンの所蔵コレクションから2つのビデオインスタレーションを紹介。《Singspiel》(2009年)は、18世紀後半のドイツで上演されていたオペラの形式を参照しています。無声映画でありながら音声の付帯する本作品は、フォン·ブランデンブルク自身が歌う2曲に合わせて、さまざまな年齢層の人々が集う家族の食事風景や、野外劇場での奇妙なパフォーマンスを描き出しており、20世紀初頭の映画上映時に行われていた生伴奏を彷彿させます。もう1つの作品《Chorspiel》(2010年)も白黒映像ですが、パフォーマンス、演劇、絵画それぞれに特徴的な表現が活人画の形式で融合されており、さらにギリシャ悲劇のコロス(合唱隊)の要素も加わります。日本初公開となるこれらの2作品からは、フォン·ブランデンブルクというドイツを代表するアーティストの多面的な作品世界を存分に感じられることでしょう。
アーティストについて
ウラ·フォン·ブランデンブルクは1974年、ドイツのカールスルーエに生まれ、現在パリを拠点に活動。
カールスルーエで舞台美術を学び、演劇の世界を経験した後、ハンブルク美術大学に進学。彼女の作品は、インスタレーションや映像、水彩画、壁画、コラージュ、パフォーマンスなど、多様な表現方法を用いるのが特徴で、異なる媒体が互いに呼応しながら、展示空間に合わせて構成されていきます。作品は世界的に高い評価を受けており、ベラスケス宮殿(マドリード、2023-2024年)、シュトゥットガルト州立美術館(2022年)、ヴェーザーブルク近代美術館(ブレーメン、2021年)、パレ·ド·トーキョー(パリ、2020年)、ホワイトチャペル·ギャラリー(ロンドン、2018年)、イエーニッシュ美術館(ヴヴェイ、2018年)、ボン美術館(2018年)、ペレス美術館(マイアミ、2016年)、セントルイス現代美術館(2016年)など、さまざまな場所で個展を開催。2024年は京都のヴィラ九条山にてレジデント·アーティストとして滞在制作を行い、9月からはバス美術館(マイアミ)にて個展を開催中。
フォン·ブランデンブルクの作品は、テート·モダン(ロンドン)やポンピドゥー·センター(パリ)、ハンブルク美術館、シュトゥットガルト州立美術館、イスラエル美術館(エルサレム)、トリノ市立近現代美術館[GAM]、ルクセンブルク近代美術館[Mudam]など、さまざまな美術館のパブリックコレクションに収蔵されています。
フォンダシオン ルイ·ヴィトンについて
フォンダシオン ルイ·ヴィトンは現代アートとアーティスト、そしてそれらのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。公益を担うフォンダシオンが所蔵するコレクションと主催する展覧会を通じ、幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。カナダ系アメリカ人の建築家フランク·ゲーリーが手掛けたこの壮大な建物は、既に21世紀を代表する建築物と捉えられており、芸術の発展に目を向けたフォンダシオンの独創的な取組みを体現しています。2014年10月の開館以来、1000万人を超える来館者をフランス、そして世界各地から迎えてきました。
フォンダシオン ルイ·ヴィトンは、本機関にて実施される企画のみならず、他の財団や美術館を含む、民間および公共の施設や機関との連携においても、国際的な取組みを積極的に展開してきました。とりわけモスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館(2016年の「Icons of Modern Art: The Shchukin Collection」展、2021年の「The Morozov Collection」展)やニューヨーク近代美術館(「Being Modern: MoMA in Paris」展)、ロンドンのコートールド美術研究所(「The Courtauld Collection. A Vision for Impressionism」展)などが挙げられます。また、フォンダシオンは、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪に設けられたエスパス ルイ·ヴィトンにて開催される所蔵コレクションの展示を目的とした「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムのアーティスティック·ディレクションを担っています。これらのスペースで開催される展覧会は無料で公開され、関連するさまざまな文化的コミュニケーションを通じてその活動をご紹介しています。
エスパス ルイ·ヴィトン大阪
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開館時間:12:00-20:00
*12/12(木)は、イベント開催につき17:00に臨時閉館いたします。
休館日はルイ·ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じます。
入場無料
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