各位 2024年12月16日
株式会社 日経BP
株式会社 日経BP(本社:東京都港区、社長CEO:井口哲也)は、2024年12月16日(月)に、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ロクシタンジャポン、ロート製薬、スマートニュースなどでマーケティングの要職を務めたStrategy Partners代表取締役社長 兼 Wisdom Evolution Company代表取締役社長の西口一希氏の著書『ブランディングの誤解 P&Gでの失敗でたどり着いた本質』を発行します。
『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『企業の「成長の壁」を突破する改革 顧客起点の経営』(日経BP)……。累計10万部を超えるベストセラー著者が、35年を超えるマーケターとしてのキャリアの中で100を超えるブランドに直接関わって得た経験を余すことなく収録した、「実務家のためのブランディング論」です。
・ブランディングすれば売り上げが上がる
・広告賞を受賞する先進的な広告をつくれば顧客が増える
・有名タレントを広告に起用すればブランド力が上がる
・商品をアップルのような先鋭的なデザインにすれば物が売れる
・テレビCMを大量投下すれば「ブランド」をつくれる
・ブランディングは莫大(ばくだい)な投資がかかるため中小企業にはできない
これらは全て「ブランディング」にまつわる誤解です。
「ブランディング」という言葉ほど、多くの誤解をはらんでいるマーケティング用語はありません。
最大の誤解は「ブランディングをすれば売り上げが上がったり、業績が回復したりする」という過剰な期待にあります。
ブランディングの成功例として必ず挙げられ、広告業界では伝説的と称される米アップルの「1984」や「Think different.」ですら、当時は業績への影響がほとんどなかったことをご存じでしょうか。
本書の筆者である西口氏も、過去には「ブランディングの誤解」に振り回され、数多くの失敗を経験したと言います。
西口氏がP&G所属時に、ヘアケアブランド「ヴィダルサスーン」のブランドマネジャーを担当した初期の頃、広告賞を受賞するようなブランド広告を制作したものの、売り上げは全く上がらなかったそうです。顧客からすると、この広告はエンターテインメントの作品としては好まれるものの、単にそれだけでは、商品を買う理由にならなかったからです。
顧客理解を深めると、顧客の購入意向は、実は、機能的な便益に大きく左右されることが分かりました。「プロのスタイリスト」「ショーモデルのヘアスタイル」の映像には憧れますが、商品として自分の髪に何をしてくれるのかという機能便益を感じないと購入意向は高まらないことに気付きました。
こうした西口氏がマーケターとして35年のキャリアの中で経験した失敗や成功を基に、実務家視点で「ブランディングの本質」を語った日経クロストレンドの記事は、過去最大級の反響をいただきました。本書はその記事を軸に大幅に加筆。アップル、コーセー、ミスミグループ、ヤッホーブルーイング、ファンケル、ニューバランスなど、10社超のブランディングの成功/失敗事例を西口氏の視点で解説し、「ブランド」と「ブランディング」の本質が学べるマーケター向けの実践書に仕上がりました。
巻末で、西口氏と対談していただいた、中央大学 名誉教授/日本マーケティング学会 元会長の田中 洋氏からは次のような推薦文をいただきました。
「本書のブランド論は、多くの実践経験に裏付けられていると同時に、データの実証にも基礎付けられた科学的なものでもあります。マーケティングの実務家がブランドを学ぶ上で、本書が参照されることを期待しています」
本書ではどのようにブランディングの目的を設定すべきか、中小企業が目指すべきニッチブランドとは何かなど、誰もが実務に活用できる実務家のための「ブランディング」を西口氏が解説します。
【本書の特長】
◆「ブランディング」が誤解された理由を著者の視点で究明
ブランディングという言葉の基となる「ブランド」は、農家が他者の牛と区別するために牛に押した焼き印に起源があると言われます。そこから転じて、自社の商品・サービスを顧客が競合と区別する識別子をブランドと呼び、その識別子の想起性と記憶化を促す活動がブランディングです。ですが、長い歴史の中で言葉の持つ意味が拡張され、まるで情緒的・心理的な価値を与えることがすなわちブランディングであるかのように認識されています。
それもブランディングの目的の一つですが、最も重要な目的ではありません。本書ではブランディングという言葉が持つ意味が拡張された歴史を振り返りながら、「ブランディングの誤解」がなぜ起きたのかを究明します。
◆ブランディングの目的を3つに整理
ブランディングは目的設定が曖昧だと無駄な投資につながる可能性が高まります。その目的は大きく次の3つに整理できます。「(1)プロダクト(商品・サービス)の記憶化と想起性の確立」「(2)情緒的・心理的価値の提供」「(3)インナー、コーポレート、IR」。これらの目的でブランディングによって成果を目指す方向を定めた上で、著者が考案する顧客を9つに分類するメソッド「9segs」と、その分類に沿って顧客の動態を分析するフレームワーク「カスタマーダイナミクス」で対象者を明確化する。これにより、より精緻で具体的な戦略立案が可能になります。
◆ブランディングの効果測定の新指標を徹底解説
「ブランディングは効果測定ができない」
これも、大きな誤解の1つです。ブランディングの領域は依然として評価が難しいとされ、まるで芸術分野のように扱われ、ビジネスへの直接貢献の議論が許されない〝聖域〞になりがちです。西口氏も長年「ブランディングの測定指標」には頭を悩まされてきたと言います。
一般的にブランディングの指標としては認知度、好感度、NPS(ネット・プロモーター・スコア)などがよく使われます。ただ、これらの数値が高くなっても、必ずしも事業がうまくいくわけではなかったそうです。ずっと「ビジネスの今後を予測できるような先行指標がほしい」と考え、西口氏は試行錯誤を重ねました。
苦悩の末、導き出したのが「次回購入意向(NPI=ネクスト・パーチェス・インテンション)」という新指標です。本書ではこのNPIについて、データを示しながら活用法を詳細に解説します。
◆中小企業でもできるブランディング
大手企業が多額の投資をして広告賞を取るようなテレビCM、有名デザイナーが手掛けるセンスのいいロゴやデザイン、大型イベントのスポンサー活動……。ブランディングと聞くと、大きな投資が伴うため、中小企業には無縁と思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。本書はすべての企業が実務に活用できるブランディング論です。
「よなよなエール」で知られる酒造会社のヤッホーブルーイングが低迷期をどのように乗り越えたのか、北海道・函館のハンバーガー店がいかにして観光客と地元客の両方に愛される存在となったのかをブランディングの視点から解説。中小企業が取り組むべきブランディングが分かります。
【目次】
はじめに
第1章 「ブランディング」の誤解――原因と結果の履き違えはなぜ起きたか
第2章 顧客が買うのは「便益」と「独自性」――高級食パン店はなぜ閉店ラッシュに追い込まれたのか
第3章 「ブランドエクイティ」の誤解――購入に影響を与える要素を発見する方法
第4章 正しい「ブランディング」の実践法――3つの目的で目標を定めて実行に移す
第5章 「ブランディング測定指標」の誤解――事業成長と密接なブランディングの指標とは何か
第6章 「リブランディング」の誤解――コーラ、ファンケルの失敗に学ぶ、リブランディングの本質
第7章 「マーケティング」と「ブランディング」の関係――顧客起点の発想に立ち返る
第8章 小規模企業でもできるブランディング――あらゆる事業はニッチから始まる
特別対談:中央大学名誉教授/日本マーケティング学会 元会長:田中 洋氏 × Strategy Partners 代表取締役社長 兼 Wisdom Evolution Company 代表取締役社長:西口一希氏
おわりに
【販売サイト】日経BP SHOP: https://shop.nikkeibp.co.jp/
Amazon.co.jp: https://www.amazon.co.jp/dp/429620548X
【著者プロフィル】
◆西口 一希(にしぐち・かずき)
Strategy Partners および Wisdom Evolution Company代表取締役社長
大阪大学経済学部卒業。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ブランドマネージャー、マーケティングディレクター。ロート製薬執行役員マーケティング本部長を経て、ロクシタン代表取締役社長 グローバルエグゼクティブメンバー 社外取締役戦略顧問。スマートニュース執行役員マーケティング担当(日本・米国)。2020年に日本と米国で特許取得した9segs分析サービスを提供するM-Force社を創業し、24年にマクロミル社に売却、マクロミル社の戦略アドバイザーに就任。24年12月現在、Strategy PartnersおよびWisdom Evolution Company代表取締役社長。
著書『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)、『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』(翔泳社)、『企業の「成長の壁」を突破する改革 顧客起点の経営』(日経BP)、『マンガでわかる 新しいマーケティング』(池田書店)、「ビジネスの結果が変わるN1分析 実在する1人の顧客の徹底理解から新しい価値を創造する」(日本実業出版社)
【日経クロストレンドについて】
「日経クロストレンド」は、マーケティング戦略や商品開発、新事業創造などの情報を提供するデジタルメディアです。デジタル・テクノロジーの進化などで様変わりする企業の新商品開発、マーケティング戦略、事業戦略の最前線をデータと実例を基に詳報。「売れる商品」「サービス開発」の勘所を解き明かします。対象は企業の経営企画、新事業開発、商品企画・開発、システム、マーケティング、営業、顧客窓口など幅広いビジネスパーソンで、Web・スマホサイト、スマホアプリを中心にお届けしています。
【人気連載「西口さんに聞いてみよう!」】
世の中には定義が曖昧なまま広がるキーワードや、誤解を抱いたまま理解されている概念が多く存在する。本連載では話題のキーワードや「マーケティング」「ブランディング」の誤解、経営層とマーケターの課題などについて、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ロート製薬、ロクシタンジャポンなどを渡り歩いてきたStrategy Partners および Wisdom Evolution Company代表取締役社長の西口一希氏に率直に尋ねる。西口流の解釈を通じて、言葉の本質を理解しよう。