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日本の伝統工芸と先端テクノロジーを繋ぐ

Craft x Techは、日本の伝統工芸と現代的なアイデア、テクノロジーを繋ぐ新しい試みです。工芸の美しい素材や技法を、歴史と未来の両面から見つめ、時に数百年という歴史を持つ伝統工芸に新しい発見をもたらすことを目指します。時代と国境を超えたコラボレーションは特別なアート作品へと昇華され、世界のアート・デザインのトップシーンにおいて、日本文化の新しい側面を伝えます。

第一回は、東北６県の６産地と、クリエイターによるコラボレーションを実現しました。参加する工芸産地は、津軽塗(青森県)、川連漆器(秋田県)、南部鉄器(岩手県)、仙台箪笥(宮城県)、置賜紬(山形県)、会津本郷焼(福島県) です。そしてこれらの産地と、サビーヌ・マルセリス、村上あずさ、アレキサンダー・グローヴス（スタジオスワイン）、イニ・アーキボン、マイケル・ヤング、落合陽一、吉本英樹の６組のクリエイターがタッグを組みます。

また、ミラノを拠点に国際的に活動し、数多くの展覧会のキュレーションを手掛ける、マリア・クリスティーナ・ディデロがキュラトリアル・ディレクターとして参加します。

本プロジェクトは、2024年6月にスイス、バーゼルで開催される「デザイン・マイアミ・イン・バーゼル」、９月にはイギリス、ロンドンで開催される「ロンドン・デザイン・フェスティバル」に巡回します。

Craft × Techについて（総合プロデューサー / クリエイティブディレクター吉本英樹）

私は元々、伝統工芸の収集家でもなければ、それに特別な思いを寄せる訳でもありませんでしたが、ふとしたきっかけで訪れた東北の漆塗り工房で、文字通りその職人技に大きな衝撃を受けました。社会の教科書に載っている日本文化の象徴としての伝統工芸というよりも、今まさに現場で生み出されている、極めてクオリティの高い、純粋なものづくりとしての工芸の美しさ。ひた向きに、伝統を受け継ぎ、当たり前のように更新し続けていく姿。そういったことに胸を打たれて以来、様々な地域の工芸産地の製作現場を訪れ、職人さんとの会話を重ねる中で、なにか自分の持てる力と、日本の伝統工芸を重ね合わせるようなプロジェクトを立ち上げたいという気持ちが、日に日に大きくなっていきました。最初の構想から約４年、このように素晴らしい皆さんと、第一弾の発表を迎えられることを本当に嬉しく、誇りに思っています。

今回参加して頂いたクリエイターは、まさに世界を飛び回る活躍をされている方々ばかりですが、全員が、日本の伝統工芸に大きな関心を寄せてくれて、喜んでプロジェクトへの参加を決めてくださいました。工芸産地の皆さんも、クリエイターも、裏側で支えてくれているスタッフも、皆が仲間・ファミリーとなり、互いに真剣なものづくりを通じて、本当に素晴らしいコラボレーションが生まれてきました。このプロセスの中で、産地それぞれに様々な新しい発見があり、伝統文化の更新の一端に我々も参加することができたのではと感じています。Craft x Techは、この東北プロジェクトを皮切りに、日本の様々な地域・産地との、そして多くのトップ・クリエイターとの輪を広げながら、コラボレーションを続けていきます。大きなムーブメントの、その最初の一歩となる今回の展示を、ぜひ現地でご体験ください。

吉本英樹（Hideki Yoshomoto）