「台湾の自由風景-シャッターに収めた真実の記録」という写真展が、東京の台湾文化センターで5月15日から6月14日まで開催中です。この展示会では、約40年間にわたって台湾の民主化の歩みや伝統文化、重要な人物を記録してきた台湾の著名な写真家、宋隆泉の作品が紹介されています。
展示は「民主行動」と「大地の歌」という二つのテーマに分かれています。
「民主行動」では、228平和記念日の台湾全島デモ行進、戒厳令の解除、台湾第四原子力発電所反対運動、思想家・鄭南榕の活動など、台湾の民主化運動に関する写真が展示されています。
「大地の歌」では、歌仔劇の物語(台湾オペラ)、労働者の日常、宋の故郷、台湾東部における南方澳の風景など、台湾の日常や文化を題材にした写真が展示されています。
5月15日の開幕式には宋隆泉本人が来場し、展示されている写真についての解説を行いました。開幕式には、衆議院議員 和田有一朗、漆間譲司、池下卓、日本交流協会総務部長
田中真美子、全台湾連合会顧問 王明里、育桜会理事長 松澤寛文、日本李登輝友の会副会長 辻井正房などが出席しました。
宋の作品は、1980年代後半の台湾の民主化運動の熱気を捉えたものから、台湾の文化や日常を映し出すものまで、多岐にわたります。これらの写真は、芸術作品であると同時に、台湾の歴史的瞬間を記録した貴重な資料でもあります。
宋隆泉氏は「1980 年代以降の台湾の民主化の気運は、これらの写真の中の民衆の賢明かつ勇敢な行動によって醸成されました。この民主主義社会の自由に溢れた風景を守るため、これから私たちはさらに大きな脅威に直面するでしょう。私は写真家として、次の段階においても、これまでと変わらずにこの自由な風景をどのように記録し続けていけるのかと考えています。」と語りました。
この展示会には、駐日台湾代表処の謝長廷代表も出席し、若き日の民主化運動の姿が映し出された写真に感慨深げでした。謝代表は「民主化の成果は多くの人々の努力の賜物である」と述べました。
1957年生まれの宋隆泉は、1980年代中頃から写真家として活動を始め、雑誌『噶瑪蘭』や『新潮流』で党外運動を記録する写真記者として活躍しました。台湾各地を旅し、民主化運動の中心に身を置きながら、デモや抗議活動の現場を撮影し続けました。
特に1980年代は、台湾が民主化へと向かう激動の時代でした。戒厳令に対する抗議デモ、1986年の民進党の結党、1987年の228事件の抗議デモ、1989年の鄭南榕の死去など、民主化運動の重要な瞬間を捉えた宋の写真は、台湾の歴史を語る上で欠かせないものです。
「台湾の自由風景:宋隆泉が捉えた真実の記録」は6月14日(土日祝日休館)まで開催されており、入場無料です。展示会は平日の10時から17時まで開かれています。同展は9月29日から10月1日まで、大阪でも開催予定です。
台湾の民主化の歴史および文化を体感できる機会です。ぜひ会場に足を運んでみてください。
関連URL :