社会福祉法人さぽうとにじゅういち(以下「さぽうと21」)は、柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)からの個人寄付により、日本に暮らす難民への教育支援の一環として、2024年6月20日、東京都品川区に、「難民教育相談センター/Educational Support Center for Refugees(通称:えすくーる)」を開設します。
<写真:当団体に日本語学習に関する相談をする難民の方々(手前)>
同センターは、日本に暮らす難民の方々が、小学校、中学校、高校、大学等への通学、進学、日本語学習などについて情報を必要としたとき、困りごとを抱えたとき、何となく不安を抱いたときなどに、適切な情報を提供したり、お話に耳を傾け、問題を整理したり、相談者といっしょに対応方法を考えたりする場所です。センター長、担当スタッフ、教育相談コーディネーターが、難民の方々や支援者の方々からのご相談にチームで対応していきます。
当団体にはこれまでも、教育に関するご相談が数多く寄せられていました。
「将来、看護師になりたい。どうしたら看護師になれるのか(中学生)」「経済的にかなり苦しい。子どもを大学に行かせることができるだろうか。奨学金の制度も全然わからない(50代男性)」「高校を卒業しないまま、アルバイトを続けている。今からやり直せるだろうか(20代男性)」「クラスに難民の子どもがいるが、パスポートをもっていない。ほかの子と同じように進学指導をしても大丈夫か(中学校教員)」
難民の方から寄せられる相談は、来日の経緯やおかれている状況などへの配慮が必要とされ、公的な相談窓口では解決しきれない場合も多々あります。当団体ではこれまでも相談事業の中で様々な教育に関する相談を受けてきましたが、この数年、アフガニスタンから日本に退避した家族が急増し、また国情の安定しないミャンマーから避難する子ども、若者も増加するなど、教育に特化した相談の場の必要性を強く感じておりました。
柳井氏にはこれまでも難民の子ども達への教育にお気持ちをお寄せいただき、学習支援事業を支えていただきましたが、この度も、「難民教育相談センター(通称「えすくーる」)」開設の必要性、重要性をご理解いただき、1億円という大きなご寄付をいただきました。心より感謝申し上げます。「えすくーる」が、日本に暮らす難民の子ども、若者、ご家族にとって「元気や勇気」を与えられる場として育っていくことを願い、さぽうと21教育相談チーム皆で力を合わせ、事業に邁進して参ります。
■概要
【名称】 難民教育相談センター/Educational Support Center for Refugees (通称:えすくーる)
【所在地】
東京都品川区(JR目黒駅から徒歩1分)※相談者の安全への配慮から、所在地は個々にお伝えしています。
【センター長】
髙橋敬子(たかはしきょうこ)(社会福祉法人さぽうと21理事長、元東京都外国人相談 相談員)
【開室時間】 月曜日~土曜日 13:00-19:00
【対象者】 条約、第三国、インドシナ難民等(補完的保護対象者として認定を受けた方々を含む)
【相談可能な内容】 就学、進学、日本語学習など、教育に関することがら全般
【対応言語】 日本語、やさしい日本語、英語
この他、ミャンマー語、アラビア語、ペルシャ語、フランス語など、相談者のニーズに応じた言語での通訳対応もします
【相談の流れ】
①電話/お問い合わせフォーム/電子メールでの相談者からのご連絡
②面談(場合によりZOOM等利用)による相談対応(必要に応じて通訳配置)
※相談者居住地、相談内容等により、同行等含めての対応方法を検討し、対応を継続します
【お問合せ】
①相談専用電話 070-6575-2121
②お問合せフォーム
https://forms.gle/duTswJ37f855FyPN9
③電子メール info@support21.or.jp
【運営団体】
社会福祉法人さぽうとにじゅういち
〒141-0021 東京都品川区上大崎2-12-2 ミズホビル6階
電話:03-5449-1331 FAX:03-5449-1332
【センターの特徴】
1 「つなげる」「つながる」「共に歩む」伴走型相談センターです。
相談者の自立した将来に「つながる」ことを大きな目標とし、必要な情報、人や機関、次のステップ
へと「つなげる」相談を心がけます
難民支援団体の知見を活かした、「共に歩む」伴走型の相談対応です
2 難民の来日経緯やおかれた状況等に配慮し、必要に応じて、ミャンマー語、アラビア語、ペルシャ語、フランス語など、相談者のニーズに応じた言語での通訳対応もします
3 教育相談チームには、難民等への日本語教育に携わった経験のある者も複数名おり、日本語学習についてのご相談には、その専門性を活かして対応します
■ ファーストリテイリンググループとさぽうと21の関係
2016年、一般財団法人(現公益財団法人)柳井正財団(現在は一般財団法人ファーストリテイリング財団)の支援をいただき、「夏休み集中学習支援教室」を開始しました。当時中学3年生だった子どもたちは、今は高校、大学を卒業し、社会人としてそれぞれの道をしっかり歩み始めています。以来、「春休み集中学習支援教室」(2017年~)、「東部(錦糸町)学習支援教室」(2017年~)、ロヒンギャ難民二世を対象とした「たてばやしオンライン学習支援教室」(2022年~)、アフガン難民二世を対象とした「がくぷろオンライン学習支援教室」(2023年~)の運営に大きなご理解と資金提供をいただいています。また、柳井正財団の海外奨学金プログラムにて米国、英国の大学に留学中の「海外奨学生」の中には、上記学習支援教室のボランティアとして活動に参加する学生もいます。
■さぽうと21 理事長 髙橋敬子より
さぽうと21の活動の始まりは、1979年「インドシナ難民を助ける会」(現:認定NPO法人難民を助ける会(AAR Japan)設立時に遡ります。ベトナム、ラオス、カンボジアから逃れたご家族が日本での生活を始めたその時から、団体の活動の中心は常に「教育」にありました。「就学支援事業」(いわゆる奨学金の支給)、「学習支援事業」、「相談事業」を3つの柱として粛々と活動を続けております。私どもは、過去40年余りの活動の中で、本当に多くの難民の方々が、「教育」によって支えられ、自立し、自己実現を果たしていく姿を見てまいりました。「教育は決して失われることのない大きな財産であり、人を支える大きな力」だと確信し、「教育に関することで、何かちょっとでも相談したいと思うことがあったら、まずは「えすくーる」に連絡してください」とお伝えしていきたいと思います。
■株式会社ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 柳井正より
この度の「難民教育相談センター(えすくーる)」の開設を、心からうれしく思います。大変な思いをして来日した難民の方々は、言葉や文化をよく知らない日本で、新たな壁にぶつかっています。彼らが日本で自立し、自己実現するためには、スムーズに教育を受けられることが必要です。難民の方々の生活水準向上と、誰もが夢を描ける明るい未来のために、今回教育に特化した相談センターの開設に寄付することを決めました。多くの人々や企業が難民問題により関心を持ち、支援活動にご賛同いただけることを強く願っています。