5月19日、萩・石見空港でANA725便が到着したというアナウンスが流れ、空港ロビーにはブルーのポロシャツを着て、首から名札をつけた学生たちが緊張した表情で待ち構えていました。大きなスーツケースを押しながら大勢の外国人が出口に現れた瞬間、学生たちが一斉に”Welcome to Shimane!”と叫びながら、手を振って駆け寄ると、訪問者の顔に笑顔があふれました。
その日、萩・石見空港に降り立ったのは、アメリカ合衆国、ドミニカ共和国、南アフリカ、ポーランド、オランダ、イングランド、中国からの会議参加者です。国際関係学部国際コミュニケーションコースのボランティア学生にサポートされ、大型バスに乗って浜田市内のホテルに向かいました。
参加者のほとんどが初めての日本訪問で、日本語を話せないため、ホテル到着時は英語を流暢に話せる学生ボランティアがチェックインを手伝い、ホテルの設備や朝食、コンビニ・レストランの説明を英語で受けました。
会議期間中のハイライトは、会議参加者が日本の小学校を訪問するイベントの企画と運営です。学生ボランティアたちは、参加者が日本の小学校の給食や掃除、昼休みの自由時間の様子を視察できるように、会場を誘導し、給食配膳を行いました。また、好奇心旺盛な小学生の質問責めにあっている参加者の通訳を務めました。
5時間目には、異文化交流のイベントを運営しました。学生たちは、参加者と小学生が交流できるように参加者の国の文化と島根県の文化についてクイズやゲームを企画しました。1年生から6年生までの全ての教室から、大きな歓声が湧き上がり、異文化交流会は大成功でした。
国際コミュニケーションコース3年の江里友香さんは「海外からこられた先生方に日本文化をわかりやすく説明することや、小学生も理解できるような英語にすることを工夫した。授業で学んだコミュニケーションの技術を実践することができた」と有意義な体験を振り返りました。
国際コミュニケーションコース4年の田中美乃里さんは、「オンラインで出会ったことがある人と実際に出会えて、とても嬉しかった。たくさんの人たちと英語で話ができた」と交流の喜びを語りました。
島根県立大学国際関係学部国際コミュニケーションコースでは、ビデオ会議やチャットを通じて世界中の大学生と英語で議論する「グローバル・ディスカッション」や「英語コミュニケーション」という科目が提供されています。オンラインで出会ったことがある外国の人と対面でも出会えるというのは、国際的な授業を展開する島根県立大学国際コミュニケーションコースの特徴の一つです。
国際コミュニケーションコース4年の本森美好さんは「この会議でボランティアするために、4月からたくさんの準備をしてきましたが、会議が始まる直前は、英語を上手に話せるか不安でした。でも気付いたら夢中になって英語で話していました」と英語を話す楽しさを語りました。
今回、国際会議のボランティアをした学生たちに対しては、国際コミュニケーションコースのエレナ・ケイン教授とメリッサ・ハントリー講師が、国際会議のプロトコール・おもてなし精神に満ちたコミュニケーション・プロフェッショナルな言葉遣いなどの研修を行いました。また、小学校での交流のために、プレゼンテーションスライドの作成や小学校教諭との打ち合わせ等、事前の指導が行われました。
学生らは、4月からLLSRの専属スタッフであるタイラー・トーマス講師とシナリオを用いたロールプレーを行い、世界各国からの参加者に英語で対応できるよう万全の準備をしてきました。LLSRとは浜田キャンパスに設置された語学支援室で、学生はネイティブの英語話者といつでも英語を話すことができます。
国際コミュニケーションコース4年の陰平涼太さんは、「この学会には世界中の人たちが参加していて、英語が世界標準になっていることを改めて認識した。アメリカの大学院に進学してもっと自分の英語を磨いていきたい」と意欲を見せました。
また、同コース4年の木村大輝さんは、「英語を母国語としない人たちもとても流暢に英語を話していた。来年は社会人になるので、グローバルに活躍できるよう英語だけでなくいろいろなことを学びたい」と成長の必要性を語りました。
国際コミュニケーションコースの江口真理子コース長は、「島根県立大学国際コミュニケーションコースでは、英語が流暢に話せるようになるだけでなく、相手の文化に配慮した異文化コミュニケーションや良い人間関係を構築するための対人コミュニケーションの理論や技術を学ぶ。国際会議でのボランティア体験は理論を実践する場となった。学生たちはホスピタリティあふれる仕事をしてくれた」と学生の貢献を労いました。