NHKの番組美術をリアルからデジタルまでワンストップで担う総合美術会社、(株)NHKアート(東京都渋谷区、平田恭佐社長)では、『チコちゃんに叱られる!』(総合/毎週金曜日午後7時57分~)のCG制作を担当しています。
制作チームでは、2018年の放送開始当時から生放送の実現を目標としてきました。
現在では、AIを使用して画面の中の人の顔をリアルタイムで認識することができますが、人の顔認識エンジンではチコちゃんの顔を認識することはできません。チコちゃんは顔の特徴が人とは大きく異なるため、専用の顔認識用画像エンジンが必要になるのです。
『第70回NHK紅白歌合戦』(放送:2019年)では、「チコちゃんリアルタイム表示システム」の開発において株式会社ウサギィ(※)の画像認識エンジンを採用し、ほぼ正面の向きに限定されましたが、頭部の認識を行い、チコちゃん決め台詞をリアルタイムCGで処理することに成功しました。株式会社ウサギィの画像認識エンジンでは学習のための大量の映像を用いずチコちゃんの顔のCGデータを使って短期間で学習させることができ、それにより初めての生放送が実現しました。
そして、2023年12月1日に放送された、NHK総合、BS2K、BS4Kの3波同時生放送番組「新BS開局スペシャル『チコちゃんに叱られる!』」では、正面顔に限定しない、より自由度の高い演出を実現するために、NHKアートでは、再び株式会社ウサギィと協力してチコちゃんのリアルタイム表示システムのバージョンアップを行いました。これにより通常放送と近い形でチコちゃん決め台詞「ボーッと生きてんじゃねーよ!」を生放送で実現することができました。
NHKアートでは、今後も最先端技術を取り入れ、より良い番組制作のための技術開発を進めてまいります。