7月3日(水)に優生保護法被害裁判の最高裁大法廷の判決が出ました。
戦後最大の人権侵害といわれる一連の裁判で、最高裁が除斥期間に関して「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない」と断じました。人権を守るための最後の砦として最高裁が下したこの判決を、私たちは画期的な判決だと歓迎します。
DPI 日本会議ではこの判決に対する声明を出しました。
以下、声明文全文です。
2024年7月4日
優生保護法国家賠償請求訴訟最高裁判決に対するDPI日本会議声明
特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり
DPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国91の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越えて障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて運動を行っている。
2024年7月3日に最高裁判所大法廷(戸倉三郎裁判長)は「旧優生保護法は憲法違反だ」として、国に賠償を命じる判決を言い渡した。国が主張する除斥期間に関しては「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない」と断じ、判例変更を行い適用を認めなかった。人権を守るための最後の砦として最高裁が下したこの判決を、私たちは画期的な判決だと歓迎する。
しかし、あまりにも長い年月が経過し、25,000人以上とされる優生手術被害者のうち、やっと声を上げることができた全国の原告39名中、すでに6名が亡くなり、ほとんどの被害者が声を上げることもできない現実を思うと、無念でならない。
優生保護法は障害者らを「不良な子孫」と位置付け、障害者が妊娠・出産・育児することを否定し、障害者の人権と尊厳及び自己決定権を奪い、優生思想を社会に根付かせてきた。障害者はその差別や偏見の中で生きることを余儀なくされてきたのである。2016年7月の津久井やまゆり園障害者殺傷事件や、相次ぐ障害者施設での虐待事件、2022年12月に発覚した北海道・江差町の「不妊措置」問題が象徴するように、優生思想は現在に至るまで、人々の心に、あまりにも深く根付いているのである。
国に対しては、この判決を真摯に受け止め、現在係争中の各地での裁判を取り下げること、被害者に謝罪を行うこと、優生保護法を半世紀近くも施行し救済措置を怠ったことを猛省して全ての被害者を救済する新たな立法措置を行うこと、障害当事者を構成員とした独立した調査機関を設置して調査や検証に取り組み再発防止に努めること、日本社会に深く根付いた優生思想を払拭する取り組みを推進することを強く求める。
そして、障害者への差別や偏見のない、誰もが地域で共に生きるインクルーシブな社会づくりに向けて、2022年に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見を踏まえて、法制度の点検と改善に取り組み、障害者権利条約の国内実施をさらに進めることを求めるものである。
以上