〈各界より激賞〉
大治朋子氏(毎日新聞元エルサレム支局長)
膨大な事実から人間の物語を編み上げる分厚い取材が生んだノンフィクションの金字塔
大木 毅氏(現代史家)
神は細部に宿りたまう――「足で書く」ジャーナリズムを貫き、小さき人々の声までも汲み上げた悲劇的叙事詩
臼杵 陽氏(政治学者・日本女子大学教授)
ユダヤとアラブ、日本であまり知られていない重要人物たちが生き生きと描かれる
三牧聖子氏(国際政治学者)
どんな手を使っても国家を守る――イスラエルの執念の裏にはこの凄惨な原体験がある
【本書の内容】
三つの宗教と多民族が共生する複雑な歴史を辿った古都・エルサレム。この街の転換点となったパレスチナ分割決議(1947年11月29日)からイスラエル建国、第一次中東戦争の停戦までの約半年を、『パリは燃えているか?』で世界的評価を得たジャーナリストコンビが描きます。アラブ、ユダヤ双方の2,000人を超える当事者の証言から浮かび上がる戦争の実像は、驚きの事実に満ちています。
7月24日には、イスラエルのネタニヤフ首相が米議会で演説を予定しており、目を離すことのできないパレスチナ問題、今改めて考えるための必読書です。
上巻には毎日新聞元エルサレム支局長の大治朋子氏、下巻には政治学者・日本女子大学教授の臼杵陽氏の解説を収録。第三次中東戦争以降の勢力図が分かる新規図表も原著より増補しました。
【目次】
第一部 聖地の分割――一九四七年十一月二十九日
パレスチナ分割案前夜。バルフォア宣言に基づき建国運動を進めていたベン・グリオンらユダヤ人機関は、国際連合加盟諸国への根回しを進める。また、ユダヤ軍事組織ハガナは、エフド・アブリエルに兵器調達を命じ、来たる抗争への準備を進めていた。一方、エルサレムの大法官ハジ・アミンは「聖戦の戦士」を組織する。長く多民族が共生してきたエルサレムでは、不穏な空気が漂い始めていた。
第二部 金と武器――一九四八年冬
国際連合でパレスチナ分割案が承認されてから、駐留するイギリス軍が撤兵する5月までの期間、二つの勢力は武力抗争へと向かっていく。ハガナが街中でのテロ活動を展開するのに対し、アラブの指導者アブデル・カデル・エル・フセイニはエルサレム包囲を敢行、ユダヤ人たちは物資の枯渇に苦しむ。思惑が交錯し足並みが揃わないアラブ諸国。その間、ユダヤ人機関はゴルダ・メイアーを通じてアメリカで五千万ドルの資金調達に成功していた。
第三部 エルサレム包囲――一九四八年春
ハガナの新たな司令官ダヴィド・シャルティールは「ナハション作戦」を指揮、エルサレム包囲を破って市内に物資を補給することに成功する。一方、アラブ勢力はカステル奪還戦でアブデル・カデルを失い求心力が低下、さらにデイール・ヤッシン村の虐殺はアラブ人たちの離散を招いた。イスラエル建国への布石が進む中、トランス・ヨルダンとエジプトは軍備増強を進める。誰も未来を見通せないまま、エルサレムはイギリス軍が撤兵する約束の日を迎えた。
第四部 聖都のための戦い――一九四八年五月十四日~七月十六日
1948年5月、イギリス軍の撤兵と共にベン・グリオンはユダヤ人国家イスラエルの建国を宣言した。時を同じくして、トランス・ヨルダン、エジプトはイスラエルと交戦状態に突入する。覆せない数的不利を前にエルサレムは窮地に陥り、ラトゥルン、旧市街でも敗北が続く。存亡の危機を前に、国連は四週間の停戦案を提案、エルサレムに束の間の静けさが訪れた。紛争の風向きは変わり始める――。
【書誌情報】
書名:『[新版]おおエルサレム! アラブ・イスラエル紛争の源流 上・下』
著者:ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール
訳者:村松剛
発売日:2024年7月5日
価格:4,400円(本体4,000円+税、上下ともに)
ISBN:上巻 9784041149348/下巻 9784041149355
発行:株式会社KADOKAWA
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322401000572/
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322401000573/
版元ドットコム
(上巻)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784041149348
(下巻)
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784041149355
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(上巻)
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(下巻)
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楽天ブックス
(上巻)
https://books.rakuten.co.jp/rb/17877141/
(下巻)
https://books.rakuten.co.jp/rb/17877142/
【著者プロフィール】
著者:ラリー・コリンズ(Larry Collins)
1929年、アメリカ・コネティカット州生まれ。イェール大学を卒業後、UPI中東特派員として4年間パレスチナに滞在する。その後、ニューズウィーク誌のパリ支局長として世界各地で活躍。54年、ラピエールと知り合い意気投合。65年に『パリは燃えているか?』を発表し、世界中で話題となる。同書につづきラピエールとの共著で発表したノンフィクション『さもなくば喪服を』『今夜、自由を』もベストセラーとなった。2005年没。
著者:ドミニク・ラピエール(Dominique Lapierre)
1931年、フランス生まれ。パリ・マッチ誌の特派員として活躍し、ニューヨーク、リオ・デ・ジャネイロ、モスクワなどを取材のために飛び回る。熱心な慈善家としても知られ、81年にはインドに子どものための人道支援団体を設立、スラム街のハンセン病患者の救済に尽力した。2022年没。
訳者:村松 剛(むらまつ・たけし)
評論家。筑波大学名誉教授。1929年生まれ。東京大学大学院文学研究科仏語仏文学専攻博士課程終了(59年)。著書に『アルジェリア戦線従軍記』『評伝 アンドレ・マルロオ』『新版 ナチズムとユダヤ人』など。94年没。