■地震発生直後に輪島市・珠洲市の居住者の約7割が自宅を離れ、6月末時点でも自宅に戻れた人は5割未満か
LINEヤフーが保有する位置情報データを活用し、能登半島地震の被災地域である輪島市と珠洲市の人流を時系列で分析したところ、地震発生直後に輪島市と珠洲市の推定居住者の約7割が自宅を離れた可能性があることがわかりました。その後、徐々に自宅に戻る人が増えているものの、市内の避難者とみられる人たちの割合は大きく変わることなく推移しており、6月末時点でも自宅に戻ることができず、避難所または新たな拠点での生活を始めている人が多数いることがうかがえます。
輪島市・珠洲市推定居住者の地震後の移動先推移
自宅:災害以前と同地域で位置が発生した場合、自宅での位置発生と推定
市内:輪島市、珠洲市(各ユーザーの自宅の場所を除く)
県内:石川県(輪島市, 珠洲市を除く)
県外:石川県以外の都道府県
※1日の中で複数個所に位置情報が存在する場合、自宅・市内・県内・県外の順で優先的に割り振りを行った
さらに推定自宅滞在者の部分を抜き出して復帰率を見た結果、6月末の段階でも46%ほどしか自宅に戻れていない状況が見て取れました。多くの被災者が、いまだ地震発生前の日常を取り戻せていない様子がわかります。
■被災地から移動した人が多いとみられるのは石川県内では金沢市、石川県外では富山県と東京都
被災後、輪島市・珠洲市の住人がどこへ移動したのかをさらに細かく分析したところ、6月30日時点での移動先は、石川県内では金沢市へ移動した人が最も多かったことがわかりました。また野々市市や白山市など人口の多い市のほか、被害の大きかった鳳珠郡能登町や七尾市にも一定数の移動者がいる様子がわかります。市外に移動したと考えられる推定ユーザー数は日を追うごとに減少しており、徐々に輪島市・珠洲市に戻ってきていると考えられます。
次に、石川県外に移動した人の推移を分析したところ、移動先として最も多かったのが隣接する富山県でした。しかし、その後移動人数、構成割合ともにじわじわと東京都への移動者が増加している様子がわかります。6月30日の段階では富山県の構成割合が13.7%、東京都が14.7%となっており、県外移動者が最も多いのが現時点では東京都だと推察されます。こちらも県内同様に徐々に推定ユーザー数が減っており、輪島市・珠洲市に戻ってきている可能性が考えられます。
■電気・停電やガソリンは1週間ほどで検索されなくなるも、水道・断水や風呂は1月末まで検索されていた
地震が発生した1月1日から1月7日までと、そこから1週間ごとの検索キーワードがどのように変化しているのかを分析したところ、電気・停電に関するキーワードは1週間ほどで概ね少なくなりましたが、水道・断水は1月末まで検索されていることがわかります。
それに伴い、風呂に関する検索も地震発生直後から1カ月後まで検索されている一方で、ガソリンなどは1週間ほどで検索ニーズが減っている様子が見て取れます。
LINEヤフーは、被災者の移動先や検索ニーズをデータから捉え、今後の災害時に優先すべき支援や復興・復旧の判断に役立てるなど、データの価値を社会に還元するさまざまな取り組みを進めるとともに、今後も被災者や被災地に対し継続的に支援していきます。
▼輪島市・珠洲市の推定居住者の県内外移動先の構成比など、より詳細なレポートは以下で公開しています。
「能登半島地震から半年 ビッグデータからみる能登半島地震の避難状況」
https://www.lycorp.co.jp/ja/bigdata/2024/07/earthquake.html