株式会社シーズメン(東京都中央区:代表取締役社長CEO 植杉 泰久、以下「シーズメン」)は、本日開催の取締役会において、株式会社ゼアー(以下、「ゼアー」といいます。)の作業録画ソリューション「テモトル」に関する事業を譲受けることについて決議いたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
1. 事業譲受の理由
当社グループは、既存の衣料品小売事業に依存する事業構成を見直し、今後の飛躍的な成長戦略を構築するため、事業ポートフォリオの多様化を進める方針です。
今般、その施策の一環として、ゼアーが営んでいる作業録画ソリューション「テモトル」に関する事業を当社が譲受けることといたしました。
「テモトル」については、現状は開発途上としての運用ステージにあり、今後は更なる進化が期待されます。今後想定される膨大な作業録画データの蓄積に伴い、ゼアーと共同開発を推進して、より先進的で高度なサービスの提供も視野に入れております。
また、現時点においても「テモトル」の業界における評価は高く、今後は大規模な倉庫運営を擁する大手企業へのサービス提供も計画しております。
更に当社はゼアーと協働し、「テモトル」による作業録画ソリューションを他のアパレル事業者に向けたバックサービスとして提供する事業も同時に開始いたします。
この事業には、2024年6月13日に「資本業務提携契約締結に関するお知らせ」にて開示いたしました、株式会社FEIDIASと業務提携した「AIモデル」によるサービス提供も併せて事業化することを計画しております。
(1)事業譲受の背景
近年、宅配便取扱個数は年々増加しており、2021年時点で年間約50億個の個人向け宅配物が配送されております。このうち10%程度の年間約5億個が電子商取引(EC)市場の宅配物とされており、この急速な拡大と物流量の増加により倉庫内の業務はますます複雑化しています。消費者の多様化するニーズに応えるためには、より高度で効率的な倉庫運用と流通加工が求められています。また、近年の販売経路の多様化や購入者側のリテラシーの向上にともない、商品の到着後に寄せられる問い合わせ数も増加しており、その対応に多くの時間とリソースが費やされています。
しかしながら、物流業界では少子高齢化の進行、低賃金、長時間労働などの要因が影響して慢性的な人手不足が深刻化しております。更に、物流業界はデータの利活用による業務改善効果が高いと期待されている一方で、他業界と比較してもInternet of Things(IoT)、人工知能(AI)、ビッグデータ(BD)等の先進技術の導入が進んでいないという調査結果も報告されております。このような2024年問題と称される人手不足が懸念される中、現在でもアナログ作業が多く残る現場の負荷軽減は急務といえます。
ゼアーは自動化、省人化、業務効率化の分野で数々のソリューションを提供し、物流・流通業界のDX化を牽引してきました。今回当社が事業譲受を決定した「テモトル」はその中でも特に革新的なサービスであり、多くの倉庫作業の効率化に貢献しています。具体的には出荷検品や梱包ミスの防止、さらに「EC万引き」と呼ばれる不正行為の防止に寄与する画期的なソリューションです。
シーズメンは、ゼアーの「テモトル」の理念に共感し、この事業譲受により倉庫作業の可視化と業務効率化を推進いたします。
(2)作業録画ソリューション「テモトル」の概要について
「テモトル」は消費者からの問い合わせ時に、該当商品の出荷検品・梱包作業をワンクリックで動画確認できるシステムです。これにより、悪質な購入者による「EC万引き」の発生をゼロにし、事実確認・原因追及などの対応に要していた無駄な時間も大幅に短縮することで人件費削減も実現します。また、実際に発生したミスやトラブルの原因を動画で分析し迅速な対策を講じることが可能となるため、倉庫作業の品質向上や顧客満足度の向上にも寄与します。既に導入された多くの現場では、誤出荷やEC万引きに関連する業務時間を8割近く短縮することが出来ており、導入先の企業からは、業務改善や出荷品質の向上に効果があったと高い評価を受けています。更に「テモトル」は、既に全国に20万台以上の導入実績を持つクラウド録画サービスシェアNo.1のセーフィー株式会社とアライアンスを組むことで、高い利便性と強固なセキュリティをスピーディーに提供します。これによりユーザーは高度な映像解析技術を活用し、迅速かつ正確に課題を解決することが可能となります。
(3)今後の展開について
将来的な展望として「テモトル」で撮影する膨大な作業録画データとAI技術を活用することにより「EC万引き」対策だけではなく、以下のような先進的サービスの開発も行ってまいります。
・作業員の教育&評価 危険予知ツール
AIで作業者の手の動きや手順について分析を行い、作業の処理能力、商品の取り扱い方、梱包や加工の精度などを評価することで改善点をフィードバックします。これにより作業効率と生産性の向上を実現します。また、作業者のイレギュラーな動きを検出することでミスの発見だけでなく危険な行動をいち早く察知し、警告を出すことで人的な労働災害の抑止にも活用を狙います。
・配送コスト最適化ツール
AIによるエッジ検出により梱包資材内のすき間率の計測を行うことで、最適な配送資材の設計やリコメンドを行います。これにより1発送あたりの無駄な容積を削減できるため配送コストの改善を実現します。
・AIロボット活用による省人化・自動化
作業員の手順や最適梱包設計のデータを学習させることで、作業人員をAIロボットに置換えて省人化・自動化を実現いたします。近年、AIロボットへの関心は非常に大きく、NDIVIAを始めとする多くの企業が参入を表明し始めております。シーズメンは「テモトル」から得られる人間の手作業動画を収集することで、そのビッグデータをAIロボットに対して提供していきます。これによりAIロボット導入時のハードルになるだろうと想定されている、現場ごとの学習プロセスを大きく短縮し、AIロボットの普及ひいては人手不足という市場課題の解決に努めてまいります。
シーズメンは、この事業譲受を通じてアパレル・流通・物流業界の未来を、効率的で持続可能なものにすること、DX化を推進し業界全体の生産性を飛躍的に向上させることで、迅速かつ正確なサービスを提供することを目指してまいります。
2.事業譲受の概要
(1)譲受事業の内容
ゼアーが営んでいる作業録画ソリューション「テモトル」に関する事業
(2)譲受事業の直前事業年度の経営成績
2024年5月期
売上高 3,279千円
※開発途上としての運用ステージにおける数値です
(3)譲受事業の資産、負債の項目及び金額
譲受事業の資産の内容は、ソフトウェア を含む無形固定資産等を予定しておりますが、金額は僅少です。
譲受対象に負債は含まれておりません。
(4)対象事業の譲受価額及び決済方法
譲受価額 : 30,000千円
決済方法 : 現金
3. 相手先の概要
4.日程
(1)取締役会決議日 |
2024年8月8日 |
(2)契約締結日 |
2024年8月9日 |
(3)事業譲受日 |
2024年8月9日 |
5.会計処理の概要
当該事業譲受は、企業結合会計基準上の「取得」に該当する見込みです。この処理に伴うのれん及びその他の無形固定資産等の計上は現在精査中です。
6.今後の見通し
本事業譲受により、企業価値向上に取り組んでまいります。現時点では、業績へ与える影響額は軽微です。今後、開示すべき重要な事項が発生した場合には、速やかに開示いたします 。
以 上