株式会社CCCメディアハウスは『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』(2024年7月20日発売)の発売を記念し、8月2日(金)に著者である鳥羽周作シェフの取材会を行いました。取材会の模様をレポートいたします。
『帰ってきたら すぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ』は、数々のバズレシピを生み出してきた鳥羽シェフが約1年ぶりに出版するレシピ本。自身の原点だという「パスタ」のレシピ55品を紹介しています。
「前著で組んだ編集者と次も一緒に本を作りましょう、と話す中で、もともと僕が“パスタの神”と言われる方の元で修行したこともあって、パスタには思い入れがある。(米やパンのように)主食の一つであるし、和食やフランス料理と比べてプロの味を再現しやすい料理で、だいたいの材料はスーパーで揃う。プロの味に手が届きやすいという入口の低さや再現性の高さがあるから、(レシピの)使用頻度はおのずと高くなる。レシピ本として需要は大きいと思いました」
と出版の経緯を説明した鳥羽シェフ。
「あらゆるシーンやニーズに対応してくれるのがパスタ」として本書は「ワンパンパスタ(フライパン一つでできるパスタ)」「定番パスタ」「レストランパスタ」の3つのカテゴリーを紹介しているが、特に力説されたのが「ワンパンパスタ」の魅力について。
「ワンパンパスタの良さは、『洗い物が少ないこと』と思う人は多いかもしれないけれど、実はゆでながら麺に味を入れていくので、そこで9割方、味が決まることなんです。例えば通称“めんチー”と呼んでいる『めんつゆチーズのワンパンパスタ』は、麺つゆとお湯で麺をゆでるときに、ほぼほぼ味が決まって最後にバターとチーズをかけるだけ。それだけで誰が作っても失敗せずにウマい。これって最高ですよね。ファジーな部分がないというのがワンパンパスタの魅力」。
1冊の中で繰り返し作ってもらえるのは3~5品でいい。レシピは料理のプラットフォーム
「ボンゴレやペペロンチーノ、カルボナーラなど、知っているようで実はよく知らないパスタを日本人が作りやすいようにチューニングしたものを『定番パスタ』として紹介しています。『レストランパスタ』は、ほとんど僕の店で出しているものを公開したもの。掲載の55品のなかには(工程や材料など)ちょっと背伸びしたレシピもあるけれど、作りやすさにこだわりながら、何度も食べて作っているので『おいしさの担保』はものすごい(笑)。熱量も精度も高いレシピ本になっています。
でも、本を買ってくれた人にとって全部のレシピを気に入ってもらう必要はなくて。“本を開くと毎回このページを開いちゃう”“こればかり作っちゃう”というのが3~5品あればいいんです。僕のレシピのいいところは、「生クリームが高い」という人には「牛乳でいいですよ」「イタリアンパセリがないなら大葉で大丈夫」とか、こうじゃなきゃ、これじゃなきゃできないというのは限りなく少ない。レシピをプラットフォームとして考えているから、自分なりにアレンジしていってくれたらいいなって思っています。
僕は、レシピの良さとは、距離と時間を解消する話だと思っているんです。例えば沖縄の人に僕の料理を届けたいと思ったときにレシピがあれば移動する必要ないし、タイムラグもない。いろいろな人においしさを届けられるという意味では本当に尊いですよね」
と、鳥羽シェフはレシピ本にかける思いを語りました。
レシピは「愛と想像力」。調味料も積極的に使います
本書に掲載されたレシピには「めんつゆ」や「コンソメ」「鍋の素」など市販の調味料が使われているものが多い。調味料を使う理由を問われると、
「単純にレシピは『愛と想像力』。作る人の身になってどれだけ考えられるか。時間も手間もかけられるプロと違い、一般の方にとっては手抜きではなく、いかに手間を省けるか、が大事だと思います。ワンパンパスタはまさにそうした発想です。
カバーにもなっている大人気の『無限パスタ2』は、めんつゆの甘みと旨みとコク、そこに塩こんぶの旨みとバターのまろやかさ、チーズの旨みがあわさることで、みんなが大好きなわかりやすい味になっています。まさに調味の勝利。だから、鶏ガラスープの素やコンソメスープの素を使うことが悪い、ダメだというのは、忙しい日々の中でごはん作りをする人のことをわかってない人の発想だと思うし、シェフの立場で肯定することで『使ってもいいんだ』となると思うので、僕は積極的にレシピに使うようにしているんです」。
読者とSNSでコミュニケーションして新しい書籍の価値を作っていく
日頃からさまざまな手段で「おいしい」を届けたいと活動している鳥羽シェフは、レシピ本を出版したことについて
「本は出版してからが始まりだと思っているので、購入してくれた方が実際に作ってSNSに投稿してくれたら、しっかりチェックしてリプライするなど、コミュニケーションをとっていく。そんな新しい書籍の価値作りを考えています。レシピ本を買ってもらって終わりではなくて、さらに良い料理が作れて、ハッピーになっていただけるような取り組みに、僕も責任をもって関わっていきたいです」
と、語ってくださいました。
この日、取材陣には2つのパスタを試食いただきました
『ナポリタンを超えたナポリタン』
油っぽくなりがちなナポリタンは、「炒める」のではなく「炒め煮」の要領で作り、最後にバターと生クリームで保湿することで、しっとり仕上がる。それでいて麺はアルデンテ、野菜はシャキシャキがキープされ、ソーセージの燻香と相まって誰もが知るナポリタンのさらにワンランク上を行く味に。
『YouTubeで大ヒット!無限パスタ2』
シェフが家の冷蔵庫を開けながら「今日卵多くない?」となったときに10分で出来たレシピ。卵とチーズでつくるいわゆる「貧乏人のパスタ」をめんつゆと塩こんぶを使ってアレンジすることで無限に食べ続けられる味に。目玉焼きを刻んで具にしながらトッピングにも使って、シズる感たっぷり。
著者プロフィール
鳥羽周作
(とば しゅうさく)
sio 株式会社 代表取締役
Jリーグの練習生、小学校の教員を経て、31歳で料理の世界へ。2018年「sio」を東京・代々木上原にオープンし、ミシュランガイド東京2020年より5年連続で掲載。現在「sio」の他「Hotel’s」「o/sio」「FAMiRES」「おいしいパスタ」など複数の外食店を1都1府3県に展開する。書籍、YouTube、SNSなどで公開するレシピやフードプロデュースなど、レストランの枠を超えてさまざまな手段で「おいしい」を届けている。モットーは「幸せの分母を増やす」。
書誌情報
タイトル:帰ってきたらすぐに作れる、食べられる おかえり!パスタ
著者:鳥羽周作
定価:1760円(税込)
発売日:2024年7月20日(土)
ISBN:978-4-484-21240-1
発行:CCCメディアハウス
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