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イベント概要
・開催概要:岩手県沖は黒潮と親潮が交わう豊かな漁場であり、ホタテ貝は全国でも有数の漁獲量を誇ります。しかし現在、ホタテ貝の成長不良、へい死、天然採苗の不安定化というような現象が起きています。様々な原因が考えられますが、地球温暖化に伴なう海水温の上昇の影響が大きいとされています。これらの問題は、岩手の海洋環境や生態系を維持するためにも、改善しなければならない深刻な問題です。
今回のイベントでは、「ホタテ貝の減少」をテーマに、ホタテ貝の生態、減少している原因、現場での取り組みなどを学び、子ども達に岩手の海やホタテ貝の問題を自分ごととして捉えてもらい、今後のアクションに繋げてもらうことを目的として開催しました。
・日程:2024年8月6日(火)・7日(水) 1泊2日
・開催場所:岩手県山田町内
・参加人数:小学校5・6年生 24名
・主催:一般社団法人海と日本プロジェクトin岩手
・協力:山田町、国立大学法人岩手大学、有限会社木村商店、NPO法人三陸ボランティアダイバーズ、マリン・ツーリズム山田(山田町観光協会)、山田町B&G海洋センター ほか
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岩手の海・ホタテ貝に起きている問題を知ろう!
はじめに、岩手の海とホタテ貝にどんな問題が起きているのかを知ってもらうため、岩手大学 農学部 下瀬環 教授を講師にお招きし、ホタテ貝の解剖、講義、岩手の海のプランクトンの観察を行いました。
ホタテ貝の解剖では、一人ひとりホタテ貝を解剖し、ホタテ貝の体の構造などを学びました。初めてホタテ貝を触る子どももおり、解剖を通してホタテ貝により興味を持った様子でした。
講義では、リアス海岸は波が穏やかで養殖に適した環境であることや、ホタテ貝は暑さに弱く、近年の海水温上昇などにより育ちにくい環境になっていることなどを学ぶとともに、今回のイベントで調査・学習していくことを確認しました。
プランクトンの観察では、海から採取したプランクトンを顕微鏡で観察することで、岩手の海の豊かさを実感するとともに、貝毒によってホタテ貝が育っても出荷できないなど、ホタテ貝が抱える問題についても学びました。
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ホタテ貝を育てるための取り組みを知ろう!
昼食後は、船に乗って山田湾にあるホタテ貝の養殖場を見学し、どのような場所で、どのようにホタテ貝が育てられているかを学びました。初めて見る大きな養殖場に参加者らは興味津々の様子でした。
ホタテ貝を吊るしているロープを引き上げてもらうと、生きているホタテ貝はごくわずかで、ほとんどが暑さで死んでしまっていました。その状態を目の当たりにして、子ども達は岩手の海の変化に衝撃を受けた様子でした。また、漁師の方からホタテ貝を育てるために気を付けていることを伺い、ホタテ貝を育てるためには多くの人の努力が必要なことを学びました。
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ホタテ貝の商品や流通について学ぼう!
養殖場を見学した後、有限会社木村商店を訪問し、加工食品の工場見学・商品づくり体験などを行いました。
最初に、有限会社木村商店の代表取締役 木村トシ さんにお話を伺い、加工食品がどのように作られ、どのように食卓に届けられるのかなどについて学びました。生産者、加工業者、運送業者、販売業者など、食卓に届くまでに多くの人が関わっていることを学びました。
その後、2つの班に分かれ、加工食品の工場見学・商品づくり体験と、今回のイベントとコラボレーションする新商品の商品案を考えました。工場見学・商品づくり体験では、品質を保つために多くの工程・工夫があることを知り、子ども達は作業の大変さ、普段おいしいご飯が食べられることのありがたさなどを実感していました。
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海を守るために出来ることは何だろう?
2日目の最初は、NPO法人三陸ボランティアダイバーズの代表 佐藤寛志 さんに、「海を守るためにできること」について講義していただきました。水温の上昇などによって藻場が少なくなってしまう「磯焼け」。その磯焼けにより危機に瀕した藻場を守る三陸ボランティアダイバーズの活動などについて解説していただきました。知らなかった海の現状や取り組みの話に、子ども達は真剣な表情で聞き入っていました。
その後は山田町の浦の浜に移動し、シュノーケリングなどを行い、実際に自分たちで海の中を観察しました。多くの生き物を見つけることができ、子ども達は岩手の海の豊かさを実感するとともに、海の楽しさを改めて感じていました。
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今回の学びを発信しよう!
2日目の午後は、今回のイベントを通して学んだことをまとめ、参加者全員で共有しました。
「藻場を守るために海藻を育てる活動をしたい」「SNSなどを通じて情報を発信していきたい」など、子ども達は岩手の海やホタテ貝を守るために自分たちにできるを考え、これからもキレイな岩手の海を守っていこうと気持ちを一つにしました。
最後に、今回のイベントとコラボレーションした木村商店の新商品のパッケージに使用する、イラストとキャッチコピーを考えました。どんなイラストにすれば手に取ってもらえるか、どんなキャッチコピーにすれば海の大切さを伝えられるかなどを考えながら制作にあたりました。
この商品は、2024年中の販売を予定しており、それに合わせて販売会も実施する予定です。販売会では、今回のイベントに参加した子ども達も売り場に立ち、購入者らに自ら今回の学びを発信します。
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参加した子ども・保護者からの声
参加者アンケートから
・海に久しぶりに行って楽しめただけでなく、ホタテ、岩手の海のことについてたくさん学ぶこと、考えることが出来て、自分の知識を増やすことが出来た。
・シュノーケリングで、アマモやアマモの中にいる魚を観察でき、「海藻が魚たちのかくれ場所」と話では聞いていたが、実際に見ることが出来て良かった。
・地球温暖化の影響が三陸まで来ていることを学んだ。
保護者アンケートから
・イベントの内容も含め、環境問題と身近な三陸で起こっている気候変化を様々な体験を通して子ども達が学ぶことができて良かった。学校ではなかなか学ぶことが出来ない貴重な体験が出来たことへの感謝と共に、親子での参加もしてみたい。
・今のホタテの状況、問題になっていることなど全く知らずにただ食べていたので、実際勉強してみて、確実に知識をつけて行く前より意識が変わっていると思う。私たち親や周りにも、してはいけないこと、海の恩恵を伝えてもらいたい。海にも初めて入り、船にも乗って、その度に気をつけなくてはいけないことや楽しみ方も、直に体験したことで身についたと思う。
<団体概要>
団体名称:一般社団法人 海と日本プロジェクトin岩手
URL:
https://iwate.uminohi.jp/
活動内容:県民と海のつながりを深めていくために、次世代を担う子どもたちや若者を中心に、海への好奇心をもち、行動を起こす運動を推進。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。