ローム株式会社(本社:京都市)は、産業機器のAC-DC電源に最適なPWM制御方式(*1)FET外付けタイプの汎用コントローラICを開発しました。低耐圧MOSFET駆動用に「BD28C55FJ-LB」、中・高耐圧MOSFET駆動用に「BD28C54FJ-LB」、IGBT駆動用に「BD28C57LFJ-LB」、そしてSiC MOSFET駆動用に「BD28C57HFJ-LB」と、幅広いパワートランジスタに対応可能な4機種から量産を開始しています。
新製品は、入力電圧範囲が6.9V~28.0V、回路電流が最大2.0mA、起動電流が最大75μA、デューティーサイクル(*2)が最大50%で、標準的なSOP-J8(JEDEC規格:SOIC8相当)パッケージを採用しています。産業機器アプリケーションの電源部に多く使用されている汎用品とピン配列が同等のため、回路変更や新規設計時の工数削減に貢献します。全機種とも、電圧ヒステリシスを持つ自己復帰型の低電圧誤動作防止機能(UVLO)(*3)に対応。一般品の閾値電圧誤差±10%程度に比べ新製品は±5%と小さく、高精度な復帰スタートを実現し、アプリケーションの信頼性向上に貢献します。
さらに、長期にわたって安定的に供給する長期供給対象製品で、寿命の長い産業機器アプリケーションの継続的な稼働にも貢献します。
新製品は、2024年7月より、月産10万個の体制で量産(サンプル価格180円/個:税抜)を開始しています。生産拠点は、前工程がローム浜松株式会社(浜松市)、後工程がROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)です。インターネット販売も開始しており、コアスタッフオンライン™やチップワンストップ™などから購入することができます。
今後、高耐圧MOSFETやGaNデバイス対応の製品も順次ラインアップに追加。さらに最大デューティーサイクル100%対応品も製品化していく予定です。
ニュースリリースページ:
https://www.rohm.co.jp/news-detail?news-title=2024-08-21_news_pwm&defaultGroupId=false
背景
世界的な半導体不足は収まりつつありますが、産業機器などの電源用部品では今なお供給が追いついていない状況が続いています。特にAC-DCコントローラICについては取り扱いメーカーが少なく、半導体逼迫の状態が慢性化しており、製品開発の要望が多く寄せられていました。こうした背景から、ロームは、産業機器アプリケーションで需要が多いパッケージと性能などの要件を満たしたPWM制御方式AC-DCコントローラICを製品化し、供給不足の課題に対応しました。
製品ラインアップ
アプリケーション例
産業機器
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AC-DC電源
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モータ駆動用インバータ
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その他コンセントで動作するアプリケーション
インターネット販売情報
製品情報
販売対象品番
用語説明
*1) PWM制御方式
PWM(Pulse Width Modulation)は、半導体を使った電力を制御する方式の1つ。一定周期の中でオン時間とオフ時間の比率を変化させることにより、出力される電力を制御する。
*2) デューティーサイクル
一定周期に対して、連続するパルス波のオン状態やオフ状態の時間比率。オン状態の比率をオンデューティー、オフ状態の比率をオフデューティーという。オン状態の時間比率をデューティーサイクルとするのが一般的。
デューティーサイクル(%)=パルス幅(t) ÷ 周期(T)
*3) ヒステリシス特性を持たせた自己復帰型の低電圧誤動作防止機能(UVLO)
UVLOはUnder Voltage Lock Outの略称。入力電圧が閾値を超えて下がったときに、IC内部回路が異常状態になる前にICの動作を安全に停止する機能。自己復帰型では閾値電圧付近になるとICの停止、復帰を繰り返し不安定になるため、停止時と復帰時の電圧に幅を持たせたヒステリシス特性の保護回路を採用する。
注) 「コアスタッフオンライン™」、「チップワンストップ™」は、各社の商標または登録商標です。