【広島市現代美術館】崇高さに関する抽象的な覚書

【広島市現代美術館】崇高さに関する抽象的な覚書
アート・カルチャー
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展覧会という枠組みを用いておこなわれる抽象的考察

【広島市現代美術館】崇高さに関する抽象的な覚書
Joanne Kyger《DESCARTES》(部分) 1968 ©Estate of Joanne Kyger, Courtesy of University of California, Berkeley Art Museum and Pacific
  • 展覧会概要

「崇⾼さに関する抽象的な覚書」は、アーティストの⽥⼝和奈が着想したグループショウで、同じくアーティストの松原壮志朗が展覧会の構成を担当する。それ自体が展覧会という枠組みを用いておこなわれる抽象的考察である。


『参加作家のひとりであるジョアン・カイガーは、アメリカ現代詩におけるさまざまな派閥と広く交流をもちながらも、独自のスタイルを確立した詩人であった。ビートニクの運動がそうであったように、彼女の作品も「瞑想」や「仏教」、とりわけ「禅宗」からの影響を受けている。カイガーは1968年にデカルトの「方法論」を題材にした詩、「DESCARTES AND THE SPLENDER OF A real Drama of Everyday Life. In Six Parts.」をもとに「デカルト」と題したヴィデオ作品を制作している。このカイガーの残した生涯唯一のヴィデオ作品とストーリーが、この展覧会の霊感(インスピレーション)であり、かつ骨子である。

展覧会の構成では、主にふたつのことを試みる。グループショウという枠組みを捉え直し、その上でグループショウの可能性を模索すること。「近代美術」あるいは「現代美術」というカテゴリーの垣根を越え、作品の固有の振る舞いが、場の特性の中で静かなダイナミズムを生み出すこと。展覧会自体がひとつの言外のマニフェストとなることを意識した。』


田口和奈(たぐち・かずな)

1979年東京生まれ。2013年よりウィーン在住。当館では2006年に個展「不在の肖像」をミュージアムスタジオにて開催、2014年にはグループショウ「スリーピング・ビューティー」に参加。近年の個展に「A Quiet Sun」銀座エルメスフォーラム、東京(2022)、「Black Paintings」Radio Athens、アテネ(2023)。2024年6月にベルギーのMuseum Dhondt-Dhaenensでグループショウ「Stories from the Ground」、2025年4月にウィーンのルートヴィヒ財団近代美術館にて個展が開催される。

松原壮志朗(まつばら・そうしろう)

1980年北海道生まれ。2014年よりウィーン在住。近年の主な個展に「Caresses」ローマ現代美術館(2021)、「Study for a Labyrinth」Bel Ami、ロサンゼルス、「Lonesome Diamond」Martina Simeti、ミラノ(2022)など。直近のプロジェクトとして、「Brruno Pelassy and the order of the starfish」Haus am Waldsee、ベルリン(2023)や「Presque Pertout」FRAC Lorraine、メッス(2024)で会場構成や展覧会デザインを行なう。

  • 出品作家

ジョアン・カイガー(1934—2017、アメリカ、ヴァレーホ生まれ、ボリナス没)

イワオ・カゴシマ(1945—、新潟県生まれ、ニューヨーク在住)

アンソニー・カロ(1924—2013、イギリス、ニューモールデン生まれ、ロンドン没)

岸田劉生(1891—1929、東京都生まれ、山口県没)

クレメット(不詳)

須田国太郎(1891—1961、京都府生まれ、同地没)

田口和奈(1979—、東京都生まれ、オーストリア、ウィーン在住)

田中敦子(1932—2005、大阪府生まれ、奈良県没)

トリシャ・ドネリー(1974—、アメリカ、サンフランシスコ生まれ、ニューヨーク在住)

古屋誠一(1950—、静岡県生まれ、オーストリア、グラーツ在住)

パトリシア・L・ボイド(1980—、イギリス、ロンドン生まれ、同地在住)

三木富雄(1937—1978、東京都生まれ、京都府没)

ナンシー・ルポ(1983—、アメリカ、フラッグスタッフ生まれ、ロサンゼルス在住)

アラン・ロンジノ(1987—、アメリカ、ビロクシ生まれ、シカゴ在住)

 エミリア・ワン(1994—、カナダ生まれ、東京都在住)  ほか

本展は、詩人ジョアン・カイガーによる生涯唯一のヴィデオ作品をはじめ、当館コレクションを含む日本国内の美術館コレクション、日本で初めて紹介されるナンシー・ルポの新作インスタレーションやパトリシア・L・ボイドのフォトグラム、1976年よりニューヨークで活動するイワオ・カゴシマのペインティング、またミュージシャンでもあり占星術史でもあるエミリア・ワンの詩など、さまざまな作品によって構成されます。

※出品作品は変更となる場合があります

  • 関連プログラム

学芸員によるギャラリートーク

担当学芸員が展覧会場を巡りながら展覧会を案内するツアー形式のトーク。

日時|2024年4月27日(土)、5月25日(土) 15:00‒16:00

会場|展示室B-2、B-3  ※要展覧会チケット、申込不要

アートナビ・ツアー  ※学芸員によるギャラリートーク開催時は除く

アートナビゲーターが展覧会場を巡りながら展覧会を案内するツアー形式のトーク。

日時|毎週土・日・祝 各日 11:45‒12:15、14:45‒15:15

会場|展示室B-2、B-3  ※要展覧会チケット、申込不要

【広島市現代美術館】崇高さに関する抽象的な覚書

展覧会名

崇高さに関する抽象的な覚書

会  期 

2024年3月30日(土)― 6月9日(日)

開館時間

10:00―17:00 ※入場は閉館の30分前まで

休館日 

月曜日(4/29、5/6は開館)、4/30(火)、5/7(火)

観覧料 

一般1,100(850)円、大学生800(600)円、高校生・65歳以上550(400)円、

中学生以下無料 ※( )内は前売り及び30名以上の団体料金

[前売券取扱] ※販売は3/29まで

広島市現代美術館受付、オンラインショップ「339」、

チケットぴあ〈Pコード686-838〉

主  催 

広島市現代美術館

協  賛

オーストリア文化フォーラム、BMKÖS

協  力

Air de Paris、エルメス財団、上原美術館

後  援 

広島県、広島市教育委員会、中国新聞社、朝日新聞広島総局、毎日新聞広島支局、

読売新聞広島総局、中国放送、テレビ新広島、広島テレビ、広島ホームテレビ、

広島エフエム放送、尾道エフエム放送

  • 同時開催

コレクション展2023-Ⅱ

コレクション・ハイライト+コレクション・リレーションズ

[ゲストアーティスト:小森はるか+瀬尾夏美]

会期|2023年11月25日(土)―2024年4月7日(日)

観覧料|一般350(250)円、大学生250(150)円、高校生・65歳以上150(100)円、中学生以下無料 ※( )内は30名以上の団体料金

オープン・プログラム

Hiroshima MoCA FIVE 23/24

会期|2024年3月30日(土)― 6月9日(日)

※入場無料

  • 広島市現代美術館について

広島市現代美術館は、全国で初めて現代美術に本格的に取り組む公立美術館として1989年5月3日にスタートしました。建物は、建築家・黒川紀章による設計で、市内を見渡す緑豊かな比治山公園に位置しています。自然の景観と調和しながら、美術館としての先駆性が表現されており、垂直軸に沿って下から順に自然石、タイル、アルミと変化する素材は、過去から未来への文明の発展や時間の流れを表し、設計者独自の「共生の思想」を体現しています。2023年3月、2年3ヶ月の改修工事をへて、リニューアルオープン。今年5月3日には、開館35周年を迎えます。

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広島市現代美術館 Photo:SATOH PHOTO Kazunari Satoh
広島市現代美術館

広島市現代美術館

〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1
TEL: 082-264-1121(代表・掲載用) 082-264-1146(直通)
FAX: 082-264-1198
Email: genbi_05@cf.city.hiroshima.jp

関連URL : https://www.hiroshima-moca.jp/exhibition/reflection_on_the_sublime

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